週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比 2.03高の53.14ドル、ブレント原油は同1.06ドル高の55.75ドルとなった。

 前週末の海外原油は大幅に上昇した、サウジアラビアが100万B/Dの自主的な減産を発表したことやアジア向けの公式販売価格のプレミアムを発表したことが要因となり買いが優勢となった。

 先週も上昇の流れが継続したが上値では利食い売りが入り伸び悩む動きへと転じた。週初11日はほぼ横ばいの動きとなった。世界的なコロナウィルス感染者数増加や中国河北でも感染者拡大が報じられ売りが先行したが、バイデン政権による景気対策期待から米国時間下げをなくす展開となった。翌12日は上昇した。米国の景気対策が期待されたことや翌日発表の石油統計で原油が減少見込みだったことを背景に上昇した。翌13日は小幅に下落した。米EIA石油統計で原油在庫が取り崩されたことが支援したものの、世界的に新型コロナウィルスの流行が収まる兆しがないことで利食い売りが優勢となった。翌14日は反発した。中国の原油輸入量が高水準となったことやバイデン政権の景気対策に期待が高まり買われる展開となった。翌15日は前日の流れから高値スタートしたものの株式市場が高値から軟化すると原油も上げ幅をなくし、夜間もやや軟調な動きとなっている。



 米国時間の終了間際に上昇する展開が続き、大口のポジションプレイが目につき始めた印象だ。昨年の暴落前の水準をすでに回復し、まだ先だが中国勢の春節などコモディティの流れが変わりうる時期を控えていることや、世界的に外出規制が敷かれる状況で寒波も落ち着きつつあるなか、調整安も意識し始めてもよいのではと感じる。テクニカル上はブレント週足の2019/8、9のネックライン付近からやや軟化を始めており、このまま5ドル上昇するか、5ドル調整安をやるかという状況で、個人的には後者の可能性をみる。ドバイもブレントも逆ザヤが縮小し始めていることも強気しにくい要因か。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。