[Vol.930] 銀は長期目線で“ハント超え”を達成する!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。56.83ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,805.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は14,730元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年03月限は358.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで680ドル(前日比3.15ドル縮小)、円建てで2,427円(前日比18円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月5日 20時10分頃 先限)
6,149円/g 白金 3,722円/g
ゴム 239.9円/kg とうもろこし 27,840円/t

●NY銀先物(期近) 月足 (単位:ドル/トロイオンス)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「銀は長期目線で“ハント超え”を達成する!?」

前回は、「銀は、短期も面白いが長期も面白い」として、長期的視点で見た、銀相場の注目点について書きました。

今回は、「銀は長期目線で“ハント超え”を達成する!?」として、長期的な視点で、これからの銀相場について考えます。

前回までの数回にわたり、銀市場について書きました。先週から今週にかけて、米国の個人投資家の「共闘」がきっかけで、一時的に8年ぶりの高値水準まで急騰した銀でしたが、現在は1トロイオンスあたり26ドル近辺で推移し、落ち着きを取り戻しつつあります。

“銀は変動幅が比較的大きい”、“銀は米国の個人投資家に人気がある”などと言われることがあります。まさに、先週から今週にかけて、市場関係者の銀へのイメージが、現実のものになったと言えます。

この銀ですが、前回述べたとおり、世界的な“脱炭素”ブームをきっかけに、太陽光発電装置御向け消費や、同時にインドの宝飾向け消費が増加しています。これは、近年目立っている事象です。短期的な事象ではありません。

そして、全体の4分の1を占める中南米の主要国の鉱山生産量は、近年、減少傾向にあり、新型コロナの感染拡大も手伝い、目先すぐに生産が回復しない可能性があります。これも短期的な事象ではありません。

“数年単位”で、消費が一定水準を維持し、生産が減少傾向を維持する可能性がある点は、銀相場を今後、長期的に押し上げる要因になるとみられます。

前回述べたとおり、「共闘」をきっかけとして、短期的な値動きが目立ち、耳目を集めているものの、銀は、長期的視点で価格上昇が望める銘柄だと、筆者は考えています。

現在、NY銀先物は1トロイオンスあたり26ドル近辺で推移していますが、条件が整った状態が長期的に続けば、「ハント兄弟」が買い占めて急騰した1980年の35ドル近辺や、金(ゴールド)相場の上昇やエコブームが始まったことなどで急騰した2011年の48ドル近辺(いずれも月足 終値ベース)などを、“長期的視点”で、目指す可能性があると、筆者はみています。

図:NY銀先物価格(期近 月足 終値) 単位:ドル/トロイオンス


出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。