[Vol.931] 先週(1月29日~2月5日)は、PGMが上昇

著者:吉田 哲
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原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。57.46ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,811.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は14,765元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年04月限は369.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで654.15ドル(前日比21.7ドル縮小)、円建てで2,321円(前日比17円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月8日 18時57分頃 先限)
6,165円/g 白金 3,844円/g
ゴム 244.0円/kg とうもろこし 27,990円/t

●NYプラチナ先物(期近) 月足 (単位:ドル/トロイオンス)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「先週(1月29日~2月5日)は、PGMが上昇」

前回は、「銀は長期目線で“ハント超え”を達成する!?」として、長期的な視点で、これからの銀相場について考えました。

今回は、「先週(1月29日~2月5日)は、PGMが上昇」として、先週1週間の各ジャンルの主要銘柄の騰落率を確認します。

以下の図は、筆者が毎週注目している、“ジャンル横断騰落率ランキング”です。株、通貨、コモディティ(商品)、仮想通貨の4つのジャンルにまたがった、合計25銘柄の、先週1週間の騰落を確認します。

ランキングから読み取ることができる、ジャンルを横断して俯瞰した、先週の市場全体の特徴は、以下です。

① 仮想通貨のビットコインやイーサリアムの上昇率が高かった。
② 原油や銅、日米欧中の主要な株価指数が上昇した。
③ 4つの貴金属のうち、パラジウムとプラチナは上昇したが、金と銀は下落した。

昨年10月ごろから目立っている、仮想通貨の主要銘柄であるビットコインとイーサリアムの上昇が、先週も見られました(①)。

また、原油と銅、主要国の複数の株価指数という、景気動向に連動する傾向がある銘柄が同時に上昇したことから、先週は、さまざまな投資家がリスクをとって積極的に運用する市場のムード、いわゆる“リスク・オン”のムードが強かったことが伺えます(②)。

仮想通貨は“リスク・オン”時に買われることがあるため、②が①の一因だったと考えられます。

②が示す“リスク・オン”が発生したきっかけは、先々週発生した米国の一部の個人投資家の「共闘」による騒動が鎮静化したことが挙げられます。

「共闘」が起きた原因については、以前の「[Vol.927] 米国個人投資家の共闘で銀価格上昇」で述べていますのでご参照ください。

では、③の貴金属銘柄の値動きの“2極化”については、どのようなことが言えるのでしょうか。

この点について筆者は、それぞれの貴金属が持つ”定石(じょうせき)“とも言える特徴が、先週、ストレートに表れた、と言えると考えています。次回以降、それぞれの貴金属市場の”定石“について述べます。

図:ジャンル横断騰落率ランキング(2021年1月29日~2月5日)


出所:マーケットスピードⅡ、楽天ウォレット、ミンカブ・ジ・インフォノイドのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。