[Vol.941] 多くのコモディティ銘柄が記録的な水準に

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。61.91ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,802.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は16,160元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年04月限は405.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで530.45ドル(前日比35.75ドル縮小)、円建てで1,843円(前日比69円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月24日 18時54分頃 先限)
6,143円/g 白金 4,300円/g
ゴム 278.8円/kg とうもろこし 29,760円/t

●NY原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「多くのコモディティ銘柄が記録的な水準に」

前回は、「2月12日~19日は、銅・プラチナが上昇」として、先週1週間の各ジャンルの主要銘柄の騰落率を確認しました。

今回は、「長期的には、多くのコモディティ銘柄が記録的な上昇中」として、多数のコモディティ銘柄の、足元の価格水準について書きます。

以下のグラフは、2月19日(金)が、多数のコモディティ銘柄において、それぞれの足元の水準が、何カ月前の水準かを示しています。

参照したのは、貴金属(金、銀、プラチナなど)、エネルギー(原油、天然ガス)、穀物(トウモロコシ、大豆、小麦など)、穀物以外の農産物(コーヒー、砂糖、生牛、赤身豚肉など)の、合計44銘柄で、足元の水準が、少なくとも、12カ月(1年以上)前よりも高い銘柄(32銘柄)をグラフに記しています。

原油が14カ月(1年2カ月)ぶりの高値水準にあり、大きく上昇している印象を受けた方もおられるかもしれませんが、人気・不人気、売買高の大小を問わず、コモディティ(商品)銘柄の中には、原油よりも、足元の水準がはるかに記録的な水準にある銘柄が、多数あります。

レアメタルや非鉄金属価格は全般的に、上昇傾向にあります。万年筆の先端部分や、ハードディスクドライブなどに用いられるルテニウムは、足元、153カ月(12年9カ月)ぶりの高値水準です。

主に半導体に用いられ、今後は燃料電池にも用途が拡大する可能性があるガリウムは、104カ月(8年7か月)ぶり、レーザー材料や商用照明に使われるディスプロシウムは70カ月(5年9カ月)ぶりの水準です。

また、近年、電気自動車(EV)が広く生産・販売され、注目が集まっているリチウムイオン電池の電極材料に用いられるコバルト、そして液晶パネルに用いられるインジウムは、ともにおよそ25カ月(2年1カ月)ぶりの水準です。

レアメタルの他、農産物(穀物以外)では、生牛、赤身豚肉などの肉関連銘柄がおよそ1年半ぶり、オレンジジュース、綿花、砂糖が2~4年ぶり、穀物では、トウモロコシ、大豆、小麦のほか、大豆ミール、大豆油などの大豆製品がいずれもおよそ7年ぶりの水準です。

また、筆者が入手できたデータでは、足元の価格は少なくとも、木材が1986年4月、ロジウムが1992年7月、イリジウムが2001年1月、鉄鉱石が2013年10月、チタンが2019年12月以降の、高値水準です。

このように見てみると、多数の(ほぼ全てと言ってよい程)コモディティ銘柄の足元の価格は、記録的な水準にあると言えます。原油や銅、プラチナ、穀物などの主要銘柄だけではありません。今、全体的に、コモディティ銘柄は高くなりつつあるのです。

図:コモディティ(商品)銘柄の足元の価格水準 単位:月
※2021年2月19日(金)の価格水準
例:原油14は、2月19日の原油価格の水準が14カ月(1年2カ月)前の水準にあることを示している。


出所ブルームバーグより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。