[Vol.960] 石油関連商品が軒並み上昇中

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。60.93ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,736.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は14,490元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年05月限は390.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで556.35ドル(前日比2.25ドル拡大)、円建てで1,967円(前日比8円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月23日 16時50分頃 先限)
6,084円/g 白金 4,117円/g
ゴム 262.9円/kg とうもろこし(現時点でまだ出来ず)

●NY原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「石油関連商品が軒並み上昇中」

前回は、「昨年11月以降、原油価格は60%超上昇」として、2020年11月2日から2021年3月19日までの、各種主要銘柄の騰落率を確認しました。

今回は、「石油関連商品が軒並み上昇中」として、前回述べた原油価格の値動きの影響を受けた、石油関連の金融商品の動向について述べます。

クリーンエネルギー策の推進による原油価格の急落というシナリオが、どこに行ったのかを考える前に、原油価格とともに大きく上昇している米国株を含んだ外国株や原油関連の金融商品の値動きを確認します。

メジャー(国際石油資本)の一角をなす、エクソンモービル(XOM)、BP(BP)などの株価、そして、原油関連のETFは軒並み上昇しています。

エクソンモービル(XOM)とWTI原油価格の、同期間の相関係数(日次ベース)は、+0.978強です。相関係数は異なる2つの対象物の関わりの強さを表します。-1から+1の間で決まり、+1に近ければ近いほど、2つの銘柄の価格は同じように動いたことを意味します。

+0.7を超えると、おおむね2つは関わりあっていると言われます。+0.978(ほぼ+1)は、2つがほぼ同じタイミングで山と谷を描いたことを意味します。それだけ、WTI原油価格とエクソンモービルの株価の動きは近しいものだった、と言えます。

原油価格の上昇は、生産者が原油を販売する際の価格を上昇させる要因になり得ます。このため、原油価格の上昇は、(生産コストが変わらなかった場合)原油の生産を生業とする石油関連企業の収益を増幅させるため、これらの企業の株価の上昇要因になり得ます。

クリーンエネルギー策の推進による原油価格の急落というシナリオが真逆の展開となり、これらの米国株などの外国株や石油関連商品の価格が上昇しているのです。

図:主要な石油関連企業や石油関連の金融商品の騰落率(2020年11月2日から2021年3月22日)


出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。