[Vol.967] スエズ運河はドコにある!?

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。60.30ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,715.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は14,085元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年05月限は392.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで525.65ドル(前日比1.55ドル拡大)、円建てで1,898円(前日比14円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月1日 18時14分頃 先限)
6,108円/g 白金 4,210円/g
ゴム 246.0円/kg とうもろこし 31,690円/t

●NY原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「スエズ運河はドコにある!?」

前回は、「数カ月単位で見れば、原油相場は強気と考える」として、原油相場の変動要因を俯瞰しました。

今回は、「スエズ運河はドコにある!?」として、3月23日(火)に大型貨物船が座礁したスエズ運河の場所を確認します。

アラビア半島とアフリカ大陸の間に位置する紅海と地中海を結ぶ長さ200キロメートル弱の運河です。一定の規格を満たせば、大型タンカーでも航行できると言われています。

足元、コンテナが不足するほど海運に需要があると報じられていることから、仮にこの事故が長期化した場合、航空便で代替できる貨物を除けば、同運河を通過するはずだった貨物の多くは南アフリカの“喜望峰”を迂回して運ばれる可能性がありました。輸送需要が旺盛であるため、運ぶことを断念することは考えにかったと言えます。

現時点では、満潮を利用してすでに座礁船は取り除かれ、正常に航行できる状態になっています。このため、事故発生当初言われていた、影響が長期化するのではないか、という心配は杞憂に終わりました。

とはいえ、今後、同様の事故が起きないとも言えません。同様の事故が発生し、影響が長期化した場合、代替手段を用いざるを得なくなります。スエズ運河の航行不能状態が長期化すれば、代替手段で最も有望視される、“喜望峰ルート”での輸送が増加する可能性があります。

海上輸送のコストは、要衝の通行料や保険料、その時の原油価格など、さまざまな要素で計算されていますが、“距離”がその額を左右する大きな要因と考えられます。距離が遠ければ、使用する燃料代が増えたり、日数がかさみ保険料が増えたりするためです。

スエズ運河のメインの代替手段とみられる“喜望峰ルート”(欧州・アジア間)は、およそ2万5,000キロメートルと言われています。“スエズ運河ルート”は、およそ1万8,500キロメートルと言われているため、代替手段を用いることで本来の1.3倍強の距離を航行しなくてはならなくなります。日数の面でも、およそ1週間余計にかかる(1.3倍)と言われています。

スエズ運河の通行料も関わるため一概に言えませんが、それでも、距離と日数が1.3倍かかることを考えれば、代替手段を講じた場合のコストは、本来かかるコストよりも高くなる可能性があります。海運需要が旺盛であることを考えればなおさらです。

図:欧州とアジアを結ぶ航路  ※ 平均速度16.43ノットで航行した場合


出所:各種報道より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。