[Vol.966] 数カ月単位で見れば、原油相場は強気と考える

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。60.34ドル/バレル近辺で推移。
 
金反落。ドル指数の反発などで。1,685.85ドル/トロイオンス近辺で推移。
 
上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年05月限は13,695元/トン付近で推移。
 
上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年05月限は399.7元/バレル付近で推移。
 
金・プラチナの価格差、ドル建てで505.9ドル(前日比19.5ドル縮小)、円建てで1,831円(前日比34円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。
 
国内市場は以下のとおり。(3月31日 18時56分頃 先限)
6,001円/g 白金 4,170円/g
ゴム 243.3円/kg とうもろこし 29,790円/t
 

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より
 
●本日のグラフ「数カ月単位で見れば、原油相場は強気と考える」
 
前回は、「スエズ運河事故起因の供給不安は“川中型”」として、スエズ運河座礁事故発生後、原油相場が他の主要銘柄を上回る高い変動率を伴ったレンジ相場で推移した背景について、筆者の考えを書きました。
 
今回は、「数カ月単位で見れば、原油相場は強気と考える」として、原油相場の変動要因を俯瞰します。
 
先週、原油相場はスエズ運河に関わる報道を一因として、日替わりで大幅上昇・大幅下落を繰り返しました。
 
一方、数カ月単位のレベルで原油相場の変動要因を俯瞰(ふかん)すれば、以下のようになると筆者は考えています。
 
今回のスエズ運河の件(流通経路における障害)は、上昇要因および下落要因の一部だったと言えます。
 
全体的には、米国の原油生産量の回復が鈍いこと、OPECプラスが減産を実施していること(プラスの実態)、そして、株価が堅調推移していること、金融緩和が続いていること、ワクチン流通が拡大していること(プラスの思惑)などの上昇圧力、そしてマイナスの実態・思惑がもたらす下落圧力が、原油相場に加わっていると考えられます。
 
WTI原油は1バレルあたり60ドルの節目を下回ると、すぐさま反発する動きを繰り返しています。一定程度の底堅さを伴っているのは、上昇・下落、両方の圧力のうち、上昇が勝っているためだと、考えられます。
 
このため、今後の短期的な原油相場の動向については、複数の条件が揃うことが必要ですが、WTI原油(期近)で1バレルあたり70ドルを付ける可能性があると、筆者は考えています。
 

図:足元の原油相場の変動要因

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。