[Vol.970] 不況時の株高・金高の具体例

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。59.89ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,732.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は14,315元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年05月限は388.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで525.85ドル(前日比6.85ドル拡大)、円建てで1,895円(前日比19円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月6日 19時12分頃 先限)
6,148円/g 白金 4,253円/g
ゴム 247.3円/kg とうもろこし 31,900円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「不況時の株高・金高の具体例」

前回は、「市場動向を読み解くフィルター“金融緩和の有無”」として、“不況時の株高”と“株高・金高”を説明するために有用な、金融緩和について書きました。

今回は、「不況時の株高・金高の具体例」として、“不況時の株高”と“株高・金高”を説明できる金融緩和実施時に、株と金が同時に上昇した具体例について書きます。

前回述べた通り、金融緩和は、全く別の文脈で、双方の上昇要因になり得ます。

以下のグラフは、現在と同様、米国で大規模な金融緩和が行われていたリーマンショック後のNYダウと金価格の推移です。ほぼ3年間、“株高・金高”が起きていました。

株価の推移も、金相場の推移も、教科書に書かれていることだけで説明できなくなっているのは明白です。

複数の主要国における、銀行の銀行と呼ばれる中央銀行がこぞって金融緩和という景気回復策を実施しています。

社会のお金の流れを良くして景気を回復させるべく、国債などを買い入れる方法で社会に資金を供給したり、金利を低水準にしたりしています。

上記の通り、金融緩和実施時は、不況でも株価が上昇したり、株価と金価格が同時に上昇したりします。つまり、金融緩和は、教科書通りにならない事象を生んでいるのです。

過去の教科書で学んだことと実態が異なることが起きている時は、“金融緩和の有無”というフィルターを用いると、なぜそのような事象が発生しているのかを理解できるかもしれません。

図:NYダウと金(ドル建て)価格の推移


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。