[Vol.2066] 長期視点のドル建てと円建ての関係

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。61.58ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。3,901.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。26年01月限は15,030元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年11月限は479.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2284.35ドル(前日比22.45ドル縮小)、円建てで11,398円(前日比66円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月2日 18時16分時点 6番限)
18,477円/g
白金 7,079円/g
ゴム 297.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「長期視点のドル建てと円建ての関係」
前回は、「短期視点の『ドル/円』の影響」として、円建てとドル建て金(ゴールド)およびドル/円の推移を、確認しました。

今回は、「長期視点のドル建てと円建ての関係」として、金(ゴールド)の店頭小売価格、円建て換算価格、ドル建て金(ゴールド)価格の相関係数を、確認します。

ここからは、「長期視点」の国内店頭小売価格と円建て換算価格、ドル/円の動向に注目します。以下の図は、これらの相関係数を示しています。参照期間は、1973年1月から2025年9月です。

相関係数は、1に近ければ近いほど、その二つの値動きが似通っていることを意味します。また、マイナス1に近ければ近いほど逆の動き、0に近ければ近いほど無関係の傾向が強いことを意味します。


図のとおり、国内店頭小売価格と円建て換算価格の過去半世紀超の相関係数は0.99941です。これは国内店頭小売価格がほとんどドル建て現物価格とドル/円でできていることを示唆しています。

日本国内の独自要素がドル/円相場を大きく動かす場合を除けば、国内店頭小売価格は日本国内の独自要素の影響をほとんど受けていないと言えます。

また、国内店頭小売価格とドル建て現物価格との相関係数は0.93272と、大変に強い相関が認められています。このことは、長期視点で言えば、国内店頭小売価格はドル/円の影響を一定程度受けながらも、ドル建て現物価格とおおむね歩調を同じくしていることを示しています。

前回、短期視点でドル/円の変動が、しばしばドル建てと円建ての価格推移の連動性に強弱を与えると述べました。こうした影響は、短期視点では起き得る話ですが、長期視点で見てみると相関係数の高さが示すとおり、ドル/円の変動が甚大な影響を及ぼす要素にはなりにくいと、言えそうです。

このことは、長期投資に金(ゴールド)を用いている場合、その金融商品がドル建てであっても円建てであっても、指標とする金(ゴールド)はドル建てであることが望まれることを示していると言えます。

図:相関係数(1973年1月から2025年9月までの日次価格を基に算出)
図:相関係数(1973年1月から2025年9月までの日次価格を基に算出)
出所:国内大手地金商のデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。