[Vol.973] 新社会人と純金積立

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。59.56ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,745.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は13,775元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年05月限は386.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで529.25ドル(前日比6.45ドル拡大)、円建てで1,879円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月9日 19時50分頃 先限)
6,152円/g 白金 4,273円/g
ゴム 238.0円/kg とうもろこし 32,700円/t

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「新社会人と純金積立」

前回は、「商品市場の密になってはいけない過去の常識」として、商品市場に古くから言い伝えられている、今となっては執着してはいけない、過去の常識について書きました。

今回は、「新社会人と純金積立」として、先週誕生した新社会人の皆さんに純金積立がうってつけの資産形成の手法だと考えられる点について書きます。

2021年度の新社会人が誕生して1週間強が経過しました。社会人になりたての皆さんにぜひ、純金積立に注目していただきたいと、筆者は考えています。純金積立は、これから資産形成を本格的に検討し始める新社会人にとってうってつけの投資手法だと思います。

金(ゴールド)は、“世界のお金”という側面を持っています。このため、金(ゴールド)のことを考えることは、世界情勢を考えることにつながります。

大学院や大学、高校など、学びの庭から抜け出して目の当たりにしている社会が、何でできているのか、何がどう影響して動いているのか、わたしたちが住む、極東の島国日本の情勢ももちろん重要ですが、世界情勢を知ることは、自分を客観視できる機会にもなり、非常に重要です。金(ゴールド)へ関心を寄せることは、必ずや世界情勢を知るきっかけになります。

また、投資対象が、上がる(騰がる)ことが正義とみなされやすい株式ではない、複数のテーマ起因の一定の上限と下限が存在し得る金(ゴールド)であるため、累積保有数量を効率的に増加させる価格下落も最終取引価格を有利にする価格上昇も発生し得ることから、純金積立(金+積立)は効率的な投資手法だと、考えられます。

以下の図のとおり、超長期的に見て、長期的な3つのテーマが作用して、金相場には一定の上限と一定の下限があると筆者は考えています。その意味では、純金積立にあたり、際限なく上値を追い続けるケース(最終取引価格の反発の難易度が上がるケース)や、急落して価格が戻らないケース(最終取引価格が有利にならないケース)が起きる可能性は、超長期的に見て、低いのではないかと、考えています。

また、上記に加えて、取引の仕組みそのものや取引画面がシンプルだという点も挙げられます。純金積立の仕組みの説明や取引画面上に、難解なカタカナや熟語、アルファベットはほとんど出てきません。世の中のさまざまな金融商品において、シンプルさは、純金積立が群を抜いていると、筆者は感じています。

純金積立は、世界情勢を知るきっかけで、比較的効率がよい長期投資の手段で、シンプルでわかりやすい、などの特徴があります。これらの特徴を持つ純金積立は、“時間”や“余地”という資産を豊富に有する新社会人のみなさんに、適していると思います。注目していただければ、幸いです。

図:6つのテーマが与える金相場への影響(イメージ)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。