週刊石油展望

著者:三浦 良平
 先週末のWTI原油は前週比4.22ドル高の63.81ドル、ブレント原油は同4.24ドル高の67.31ドルとなった。

 前週末の海外原油は小幅下落。ウィーンで欧州各国およびイランとEUが次官級協議が開かれ、さらにイラン核合意の米国の復帰へ向けてステップが進展したとの見方が圧迫要因となった。米国が復帰となればイランからの原油輸出が増加すると警戒されている。またアストラゼネカ製ワクチンに続きJ&J社のワクチンでも副作用が見られたことからワクチン接種の遅れが懸念された。

 先週は米国や中国の経済指標が良かったことで世界的な景気回復が意識され堅調な推移となった。12日は反発。イエメン武装勢力であるフーシ派がサウジに対して再び攻撃をしたと伝わったことから急騰する場面があったが、サウジの被害は伝わっておらず石油供給に影響はないと見られ値を削る展開となった。13日は続伸。3月の中国の貿易統計が強かったことから景気回復が加速していると見られ相場を押し上げた。またOPECが2021年の需要見通しを上方修正したことも支援要因となった。14日は続伸。EIA統計で原油在庫が予想を上回る大幅取り崩しとなったことや、OPEC月報に続きIEAが需要見通しを上方修正したことも好感された模様。15日も続伸。引き続き需要見通しの引き上げが意識されたほか、3月の米小売売上高が市場予想を大幅に上回ったことによる米株価の最高値更新、ドル安からリスク資産である原油にも買いが入る格好となった。



 海外原油はボックス圏を上抜けブレント原油で再び70ドルをうかがう勢い。新型コロナの感染拡大懸念は根強いものの、米国では経済指標の改善が顕著にみられ、米株価も高値更新を続けている。また、米長期金利が低下してドル安に振れてることも原油相場には追い風となっている。加えて、イランとイスラエル間の緊張の高まり等の地政学的リスクも増大してきており安易に売りにくい相場となっている。イラン核合意への米国の復帰協議の進展には注意が必要だが、イランはウラン濃縮レベルを引き上げて米国を牽制しており協議は難航が予想される。米国の石油需要は日量2000万B超えを回復しており、今後も原油在庫の減少が見込まれることも下支え要因となるだろう。目先はブレント原油で65ドルを下値の目途とみて押し目を丁寧に拾い買いしていきたい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長代理として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。