“金融相場化”しつつある原油相場

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。56.24ドル/バレル近辺で推移。

金下落。ドルインデックスの反発などで。1418.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)下落。9月限は10695元/トン近辺で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。9月限は439.2元/バレル近辺で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで546.4ドル(前日比5.1ドル縮小)、円建てで1907円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(7月29日17時40分頃 先限)
 4943円/g 白金 3036円/g 原油 39960円/kl
ゴム 180.9円/kg とうもろこし 24410円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「“金融相場化”しつつある原油相場」

今回は「原油市場が“金融相場化”する可能性を考える」として、需要と供給に関わる材料だけでなく、通貨の強弱や金利の上下などが原油相場に与える影響について考えます。

コモディティ(商品)銘柄は、需要と供給に関わる材料で変動する“需給相場”、通貨の強弱や金利の上下が材料となり変動する“金融相場”があると筆者は考えています。

どちらかがメインテーマ、その時メインテーマでないテーマがサブテーマ、という状況が繰り返されていると考えられます。筆者はサイクル論者ではありませんので、このメインテーマの移り変わりが定期的に起きているとは考えていません。

また、あくまでメインとサブという位置付けであるため、両方が絶えず相場に影響しながら、相対的に影響力が強い方をメイン、もう片方をサブとしているに過ぎず、サブが相場への影響力を失っていると考えているわけではありません。

コモディティ(商品)銘柄は、基本的には需要と供給に関わる材料が主な変動要因である需給相場がメインで、通貨や金利が影響して価格が主な変動要因である金融相場がサブ、と言えると筆者は考えています。

リーマンショック後の米国の大規模な金融緩和実施などの例を考えれば、しばしば起きる大規模な主要国の金融政策の変更時などでは、金融がメインで需給がサブに、というようにメインテーマが切り替わることがあると筆者は考えています。

そして、米国の金融緩和策の一つとされる“利下げ”実施の温度感が高まっている今、コモディティ(商品)相場におけるメインが金融相場となりつつあり、そのため、需給に関わる上昇要因が複数発生していても、原油相場が明確な上昇トレンドを描いていないのだと思います。

図:コモディティ銘柄における“需給相場”と”金融相場” (筆者イメージ)


出所:筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。