[Vol.1004] 金価格上昇要素「有事のムード」は継続か

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。66.85ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,888.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は13,630元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年07月限は429.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで711.7ドル(前日比1.4ドル縮小)、円建てで2,521円(前日比52円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月28日 大引け 先限)
6,681円/g 白金 4,160円/g
ゴム 254.3円/kg とうもろこし 33,840円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金価格上昇要素「有事のムード」は継続か」

前回は、「金年内2,000ドル、考慮するべきテーマは3つ」として、年内の金相場の動向を考える上で重要とみられる、3つのテーマについて述べました。

今回は、「金価格上昇要素「有事のムード」は継続か」として、年内の金相場の動向を考える上で重要とみられる、3つのテーマの1つ、「有事のムード」について述べます。

以前の「アドラー心理学と金市場分析の接点」で述べたとおり、北朝鮮がミサイルを数十発発射して「有事」と言われた2017年のNY金の騰落率がわずか+12%程度でした。

この点から考えて、現代の金相場は「有事のムード」という、単一の材料で説明できるほど、単純ではないと言えます。

あくまでも、「有事のムード」は、重要な複数のテーマの一つ、と認識するのが、正しいと、筆者は考えています。つまり、ニュースでいくら「有事」が目立ったとしても、それだけで金相場が上昇する、それだけで金を買う動機が発生した、などと考えてはいけないということです。

とはいえ、「有事のムード」が拡大した場合、「資金の逃避先需要」が喚起され、金市場が上昇することがあるため、「有事のムード」を無視することはできません。

スタンスとしては、「有事のムード」は金市場の変動要因の全てではなく、複数の中の一つと、考えるべきだと、筆者は思います。

今、世界的な不安が同時に発生しています。中には長期化が予想されるものもあり、不安が世界からなくなる日はなかなか来ないようにさえ、思えてきます。仮に一つ、不安が解消したとしても、また新しい不安が発生する可能性もあります。

サイバー攻撃による重要インフラ停止は、以前より散発していましたが、今月、米国で発生したような規模の大きい事件は、世界各地で今後も発生する可能性があります。現代ならではの先端技術を駆使したこの手の事件に、今後も要注意です。

金市場における複数の重要テーマの1つである「有事のムード」の動向に、引き続き、注視が必要です。

図:足元の「有事のムード」の動向


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。