[Vol.1006] 米金融緩和継続見通しは金相場を支える

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。68.13ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,907.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は13,345元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年07月限は440.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで728.4ドル(前日比5.5ドル拡大)、円建てで2,556円(前日比26円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月1日 19時46分頃 先限)
6,728円/g 白金 4,172円/g
ゴム 241.0円/kg とうもろこし 34,440円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「米金融緩和継続見通しは金相場を支える」

前回は、「金価格上昇要素「有事のムード」は継続か」として、年内の金相場の動向を考える上で重要とみられる、3つのテーマの1つ、「代替通貨」について述べました。

今回は、「米金融緩和継続見通しは金相場を支える」として、前回に続き、年内の金相場の動向を考える上で重要とみられる3つのテーマの1つ、「代替通貨」について述べます。

「代替通貨」として今後も金に注目が集まり続けるかどうかは、米国の金融政策の方向性が重要なカギを握ります。以下は、5月19日に公表された、4月27日と28日に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録の抜粋です。

この議事録の公表を受け、段階的な金融引締め(テーパリング Tapering 先細りの意)が示唆された旨の報道がありました。しかし実際のところ、同じ議事録には、逆の内容、つまり現在の金融緩和を継続する趣旨の記載もありました。

米国の雇用の最大化と物価の安定化をその役割とする中央銀行としてFRB(米連邦準備制度理事会)は、「一段と顕著な進展」があるまで、金融緩和策の具体的な手法である、資産買い取りと低金利策を継続するとしています。

米国の雇用情勢は、失業率が4月時点で6.1%と、まだまだコロナ前の水準(2020年2月は3.5%)よりも高水準です。コロナショック直後、14.8%まで上昇し、その後低下しつつあるものの、今年に入り6%前後で定着しつつあります。雇用情勢が盤石な状態とは言い難い状況です。

また、経済情勢の「実態」を映す原材料の需要を見ると、米国国内では銅も石油も、コロナ前の水準に回復していません。銅も原油も、価格こそ、比較的高水準を維持しているものの、米国国内の需要の回復は本調子とは言えません。

インフレが叫ばれながらも、「実態を伴わない」物価上昇であれば、金融引き締めはもとより、金融緩和の終了すらできる状況にないと、筆者は考えます。

金融緩和継続見通しは、「代替通貨」需要を喚起し、引き続き、金相場を支える要因になり得ると、考えます。

図:FOMC議事録(抜粋) 2021年5月19日公表分


出所:各種報道をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。