基軸通貨体制に揺らぎ。東京五輪でのサイバー攻撃も要注意

著者:菊川 弘之
 NY金(8月限)は、欧州中央銀行(ECB)理事会や米消費者物価指数(CPI)を控え、心理的節目1900ドルを挟んだ保合いが続いていたが、米CPI発表後のドル高を受けて1871.8ドルまで下落後は、インフレは一時的との見方から米国債の利回りが低下し、ドル高が一服したことから押し目を買われた。時間外取引の高値を突破すると、テクニカル要因の買いが入って1902.7ドルまで上昇した。

 5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.0%上昇と市場予想(4.7%上昇)を上回ったが、CPI上昇は中古車や航空運賃など、コロナ禍で低迷した旅行関連の急速な伸びが背景であった事で、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を急がないとの見方が強まり、米長期金利は1.43%と約3ヶ月ぶりの水準に低下した。インフレ加速は一時的な要因が大きく、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を急ぐほどではないと受け止められた。

 ただ、ECB理事会で資産購入について今の規模と期限を維持。今後3ヶ月は「かなり速いペースで続ける」との表現も維持し、外国為替市場でドルがユーロに対して買われたことが金の上値を抑えた。

 引き続き、心理的節目1900ドルを挟んだ保合いが継続しているが、ここにきて、中長期的な金の上値余地に大きな影響を与えそうなドル離れの動きが出ている。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券主席アナリスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。
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