基軸通貨体制に揺らぎ。東京五輪でのサイバー攻撃も要注意

著者:菊川 弘之
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 テクニカル分析では、(マーケットの魔術師と呼ばれる)リンダ・ブラッドフォード・ラシュキの『聖杯(Holy Grail) 』が、前週末の段階で、買いのセットアップとなっている。トレンドの勢いを表すADXが30以上で、指数平滑移動平均線(20日間)を、6月3日・4日にザラバで割り込んだ。終値ベースで、4日高値(1899ドル)~3日高値(1912.3ドル)を上抜いてくると、買いのセットアップからトリガーヒット(買いエントリー)となる。ただし、同水準は価格帯別出来高の厚い上値抵抗帯で、指数平滑移動平均線を割り込むのか、それとも抵抗が支持線に変化していくのか、同水準の攻防がテクニカル面の焦点だ。

 ファンダメンタルズ面からは、重要イベント(ECB理事会・G7首脳会議・NATO首脳会議・FOMC・米ロ首脳会談・イラン大統領選挙・中国建党100周年)が相次ぎ、金融・政治が大きく動意付くかもしれない。

 また、新型コロナ禍で運営に混乱が生じている中、東京五輪中のテロ・サイバー攻撃などが、波乱要因となるリスクにも注意したい。

 米最大級の石油パイプライン運営会社コロニアル・パイプラインや、ブラジルにある食肉加工世界最大手JBSがサイバー攻撃を受け、巨額な身代金が支払われた一方、米連邦捜査局(FBI)が秘密裏に犯罪組織に配布した暗号化携帯端末を使った国際おとり捜査で、800人以上を逮捕。おとり捜査は「トロイの盾(Trojan Shield)」と呼ばれる作戦の一環で、目に見えない戦いは激化している。

 世界中の注目が集まるオリンピックに向けたテロ・サイバー攻撃は否定できない。

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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