[Vol.1016] 「脱炭素」でもささやかれる原油相場100ドル

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。71.12ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,864.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は12,735元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年07月限は454.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで708.2ドル(前日比7.6ドル拡大)、円建てで2,497円(前日比31円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月15日 18時55分頃 先限)
6,600円/g 白金 4,103円/g
ゴム 236.0円/kg とうもろこし 34,590円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「脱炭素」でもささやかれる原油相場100ドル」

前回は、「「水素社会」でプラチナが活躍する可能性あり」として、長期的視点で見た「脱炭素」とプラチナの関係について述べました。

今回は、「「脱炭素」でもささやかれる原油相場100ドル」として、「脱炭素」が叫ばれる中にあっても、報じられている「原油相場100ドル」について考えを深めるべく、現在の原油相場の値位置を確認します。

先週、「原油相場100ドル超えるか」といった趣旨の報道が、にわかに沸き上がりました。現在1バレルあたり70ドル近辺で推移しているNY原油先物価格が、数年以内に、100ドルに達する可能性があるというのです。以下は同原油先物価格の推移です。

原油相場は、昨年2月以降、新型コロナショックで急落したり、先物取引特有のルールがきっかけでマイナス価格に陥ったりしましたが、現在は、新型コロナショック直前よりもさらに上の、2018年秋の水準に達しています。

また、2020年11月、米大統領選挙で「脱炭素」推進を宣言し、「脱炭素」を世界的ブームに仕立て上げ、対抗馬であったトランプ氏との違いを鮮明にしたバイデン氏が勝利したため、「石油の時代は終わった」と、一部の市場関係者の間でささやかれました。

しかし、原油相場は、その言葉が示す方向(化石燃料需要減少→原油価格下落)とは逆に、上昇しました。

次回以降、「新型コロナショック」、「バイデン氏勝利」、「脱炭素ブーム」などの、原油相場を押し下げる強力な材料があったにもかかわらず、ここまで上昇してきた背景をおさらいします。

図:NY原油先物価格(期近 日足 終値) 単位:ドル/バレル


出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。