第10回、移動平均線 その6、『 移動平均線の複数使い 』後編


■「講師!・・・難しい話を東大生にだけわかるように話すなら誰でも出来ます。しかし、小次郎教授のすごいところは、難しいテクニカル分析の話を、中学生でもわかるように解説するってのが売りですよね。そうでしょ?だったら、このほら話は欠かせません!(←きっぱり)」

□言ってることは無茶苦茶なんだが、妙に説得力があるだけにたちが悪い。無視無視。

□まずはスタートラインである一番底の状態を見よう。『下降トレンドの完成』と出ているところだ。長期下降トレンドが続くと、最終的には移動平均線の並び順は下から短期線・中期線・長期線となる。これはわかるか?

■「わかるような・・・わからないような?」

□話を急ぎすぎたか。では、その前にまず、移動平均線の遅行性に関して再確認をしておこう。前に『移動平均線には遅行性がある』という話をしたが覚えているかい?

■「価格の動きに対して、移動平均線は遅れて付いてくるということですね。」

□そゆこと。これは移動平均線の期間が長くなれば長くなるほど遅れてくる。つまり、下降トレンドから上昇トレンドにトレンドが変化したとき、まず、短期線が上向き、続いて、中期線が上向き、最後に長期線が上向く。これはわかるかな?

■「あ、わかります。だって、期間が長くなれば長くなるほど、過去の価格の影響が残る度合いが大きくなるわけですよね。たとえば40日移動平均線て過去40日間の価格の平均じゃないですか。たとえば35日間下がってその後5日間上がったとして、それくらいの上昇で、今まで下がっていた線が急に上昇に転ずるとは限りませんよね。それが5日移動平均線だったら、あっという間に上昇しちゃいますよ。つまり、どうしても期間が長ければ長くなるほど、価格変動に対して動きが鈍くなりやすいですね。」



□おお、ようやく助手らしい回答が出来るようになったね。そゆこと。まずはそのことを確認しておこう。トレンドが変化したとき、短期線ほど反応が早く、長期線ほど反応が鈍いということをね。

【移動平均線の遅行性】 移動平均線は価格の動きに対して遅れて付いてくる。 移動平均線の期間が長くなればなるほど、反応が遅くなるし、その変化量も小さくなる。
図、移動平均線の遅行性 ■「つまり短期線はイチロー、中期線は僕、長期線は講師と思えばわかりやすいですね。ゴジラが来て、さあ逃げろってなってもイチローはすぐ逃げられますが、講師は逃げ遅れると。」 □余計なたとえを。褒めたらすぐこれだ。 □で、先ほどの話に戻るぞ、①『下降トレンドの完成』。価格が下げトレンドを継続すると、まず短期線が下がり、続いて中期線が下がり、最後に長期線が下がる。つまり位置関係は、下から短期線、中期線、長期線となる。今度はわかったかな? ■「わかりました。下げトレンドが完成すると、下からイチロー、ムサシ、小次郎講師と。」 □そのたとえはやめろ!