第10回、移動平均線 その6、『 移動平均線の複数使い 』後編


□では今度は④の『上昇トレンドの完成』を見てみよう。長期上昇トレンドが続くと、移動平均線の並び順は上から短期線・中期線・長期線となる。これもわかるな。

■「もちろん。さっきの逆ですよね。上昇トレンドが続くと、まず短期線が上昇し、続いて中期線が上昇し、最後に長期線が上昇しますね。ということは最終的には必ず、上からの並び順は短期線・中期線・長期線となります。」

□ザッツライト!そのとおり!!

□つまり、価格の上昇過程は移動平均線の並び順がスタート時点では長期>中期>短期だったものが、次第に変化して最終的に、短期>中期>長期へと並び変わるプロセスなのだ。

■「なるほど。」

□逆に価格の下降過程は移動平均線の並び順がスタート時点では短期>中期>長期だったものが、次第に変化して最終的に、長期>中期>短期へと並び変わるプロセスなのだ。

■「にゃあるほど。」

□そしてその変化の順番は基本的に、この大循環分析のひとつひとつのステップを時計回りで推移する。

■「一時的な逆回りはあるんでしょ?」

□逆順だね。これは押し目(上げトレンドの一時的下げ)、戻し(下げトレンドの一時的上げ)、もみ合い期などで、一時的に出てくる。

■「ただし、①から②を経ずに③に行ったり、④→⑥→⑤→①なんてメチャクチャな順番になることはないんですね。」

□そゆこと。

■「そこ、わかりづらいので整理して質問しますが、今たとえば、ステップ②にいるとします。通常は③へ移行する。逆順になって①に移動することも稀にある。しかし、それ以外に移動することはない・・・と。そういうことですか?」

□うむ。

■「ほんとにないんですか?ほんとにほんとに?」

□基本的にはない。そりゃ細かい話をすればステップ①から大暴騰して、ステップ②を一瞬で通り過ぎて一気にステップ③にたどり着くというようなことはある。そういったケースも含めて順番に大循環分析のひとつひとつのステップを経て変化していってるのだ。ムサシ君も、読者の皆さんも手元のチャートで確認してほしい。どのチャートを見てもこの動きは変わらないのだよ!

■「うーん、いまいち信じられない!」

□では疑い深いムサシ君のために、ワンステップずつ解説していこう。

■「聞きましょう。ま、僕は大体わかってるんですが、読者の中にまだ理解度が低い方がいらっしゃるかもしれませんからね。」

□①下降トレンドの完成。
長期の下げ相場の結果、短期線が一番下に下がり、それに中期線、長期線が遅れて付いてくるので、最終的には、長期>中期>短期という並び順になる。後は、その期間がどれだけ続くかだけ。

■「そこはさっき十分理解しました。OKです。」

□②ゴールデンクロス。
価格が下げ止まって上昇に転じると、短期線が一番早く上向きに動くので、いつしか短期線が中期線を上向きにクロスする。これがいわゆるゴールデンクロス。その結果、並び順が長期>短期>中期となる。

■「ですね。そこもOKです。」

□③本格上昇期。
その後、さらに上昇が続くと、いつか短期線が長期線も上抜く。その結果、並び順が短期>長期>中期となる。

■「ふーむ。」

□④上昇トレンドの完成。
さらに上昇が続くと、短期線の次に動きが速い中期線が、動きの一番遅い長期線を上抜く。その結果、並び順が短期>中期>長期となる。これが上昇トレンドの完成形である。

■「ちょっと待ったあ!」