小次郎講師の徹底解説【テクニカル分析の重要性】

□ではそんなヘビーユーザーのムサシ君に質問。
 なぜ「ゴールデンクロスが買いサイン」で「デッドクロスが売りサイン」か説明できるかな?

■え、だってみんなそう言ってますし、そういう解説文もよく見かけますし。

□ほら、また自分では本質を何も理解していない。
 テクニカル分析のシグナルは買いサイン・売りサインを単に知るだけでなく、「何故それが買いサインになるのか」「何故それが売りサインになるのか」ということまで理解しなければ一生使えるようにはならないぞ。

■そ、そうでした…
 理由の部分こそが大事なんですね。

□「買いサイン」「売りサイン」とは分析の果てのあくまで“結果”の部分だからね。それだけを追い求めてはいけない。

■はい!分かりました。

□では、その答えの糸口として、移動平均線を普通に描くとしたらどこに描くのか?という問題だ。

■どこ、ですか?

□そうだ。例えば5日移動平均線だったら、当日を含む過去5日間の平均値を計算するわけだから、その値は中間(この場合だと2日前の所)に描くのが普通だろう。

■確かに、考えたこともありませんでしたが、通常は平均値って真ん中に描きますよね。
 

 
□ではなぜ中間ではなく、本日の所に平均値を描くのか。
 それはズバリ、過去の平均値と今日の価格を比較したいが為だ!

■今日の値段との比較なんですか!?

□10日移動平均線だったら、過去10日間の平均値と本日の価格を見比べる。
 そうすると、過去10日間に買った人売った人が現在平均的にどれくらい儲けているか・どれくらい損しているかが一目瞭然となる!

■例えば10日移動平均線の本日の値が1000円で、価格の方の本日の終値が1500円だったとすると…

□過去10日の間に買っていた人は平均的に500円儲けていることになる。
 そして買い方がいるということは当然売り方もいるということだから、売っていた人は平均的に500円の損、ということが分かる。

■なるほど。ここに冒頭の部分で話のあった、移動平均線の「移動」の部分が関わってくるわけですね。

□本日の所に平均値を“移動して”描くから「移動平均線」。その理由は今日の価格と見比べて、どれくらい儲かっているか損しているかを見やすくする為なんだ。これが移動平均線の役割の二つ目。

■しっくりきました。

□そして、ムサシ君が仮に買い方で、過去何日間の平均値と比べてマイナスだった日々が続いていたとしよう。

■今日の価格が移動平均線の下にあるような状態ですね。

□そこから価格と移動平均線がゴールデンクロスを起こし、プラスに転じたらどうなる??

■「やった!」ってなります!だって損がなくなってどんどん利益が増えていくわけですから!強気にもっと買おうともなります。

□そうだ。ゴールデンクロス・デッドクロスを理解する上で投資家のこの心理的な変化がとても重要なものになってくる。ムサシ君が言ったように、それまで平均的にマイナスだった買い方がプラスに転じるゴールデンクロスは、その後の価格上昇への分岐点となりやすい。反対にそれまでプラスだった売り方はゴールデンクロスが起こったら損の時代に突入してしまう為、いち早く決済したくなってくる。その時に出す注文は売りの反対だから「買い」。

■そうか!その決済注文が価格の上昇をより促進するんですね。

□反対にデッドクロスはそれまで平均的にマイナスだった売り方がプラスの利益に転ずる部分ということで、売りがどんどん加速していく。そして買いを持っている買い方は、これ以上損が広がらないように「売り」の決済注文を出すこととなる。これがデッドクロスによって価格が下落していくカラクリだ。

■今持っているポジションが、マイナスゾーンにいるかプラスゾーンにいるかで投資家の気持ちは全然違ってくるんですね。
 

 
□そこまで理解してないと、ゴールデンクロス・デッドクロスの理由を理解しているとは言えない。でもこれでムサシ君もクロスを見ただけで市場の投資家心理を把握できるようになっただろう。

■はい!この見方でだいぶ深く移動平均線を見られるようになったと思います!

□だが、まだまだ移動平均線の真価はこんなものじゃない。「シンプルなものにこそ真理が宿る」だ。それを今後数回でさらに深く掘り下げていこう。

■まだまだ先が見えないなんて、小次郎講師深すぎますよ!

□以上、これにて第5回講義終了。

■起立、礼!
 

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