小次郎講師の徹底解説【テクニカル分析の重要性】

「新コジテク(小次郎講師の使えるテクニカル分析講座)実践編」第7回


□皆さんこんにちは。小次郎講師です。


■助手のムサシです。今日も宜しくお願いします。

□早速、前回の続きでグランビルの法則の買いパターンその3から学んでいこう。

【買いシグナルパターン③】
価格が上昇基調の移動平均線の上にあり、その後一時的に移動平均線に向かって下落していくが、移動平均線とクロスせずに再度上昇を始めた時。
→(押し目の終了)普通の買いサイン
 

 
■パターン②ではクロスしていましたが、これは価格と移動平均線がぶつからないパターンなんですね。

□この場合は価格と移動平均線の距離関係が重要。
仮に価格が安定して上昇している時は、価格と移動平均線が下の図のようになる。
 

 
■一定の距離を保ちながら並行して上がっていくと。

□移動平均線は、毎日の価格の平均値だから、リアルな価格の動きに遅れて上がったり下がったりすることになる。このことを「移動平均線の遅効性」と呼ぶ。

■まるで師匠の小次郎講師にピッタリくっついて付いていく僕のようですね。

□君はまず講義に“遅刻”しないように。

■あちゃ。

□価格は大きく上がったり下がったりすることもあるが、平均値を集めた移動平均線は「平均」なだけあって日々の上下の影響を受けにくい。そして上昇の時は価格に遅れて上がり、下降の時は価格に遅れて下がっていく。
ということはトレンド発生時の価格と移動平均線の上下関係は?

■どちらが偉いかということですか?

□ばかやろ。真面目にやれ。
位置的な上下だ。

■上昇の時は移動平均線は価格の下にあり、下降の時は移動平均線は価格の上にあります。

□そうなると、移動平均線と価格の位置関係を見ただけで、今が上昇トレンドなのか下降トレンドなのかが分かるようになる。

■そうなりますね!

□そして繰り返しになるが距離関係が重要。
価格が上昇力を失うとその距離は下の図Aのようになる。
 

 
■間隔が狭まってます。

□反対に上昇力が増すと図Bのようになる。
 

 
■今度は間隔が広がってます。
移動平均線と価格のどちらが上にあるかだけでなく、その間隔も注目ポイントなんですね。

□話を戻そう。
つまりこのパターン③は押し目等の理由で一時的に上昇力が弱まった相場が再度上昇に転ずる(上昇が継続する)ことを意味している。

■押し目買いのパターンだから「普通の買いサイン」となっているんでしょうか。

□そうそう。ただパターン②の時と同じように、距離が開いたかと思ったらその後また狭まり、段々と価格及び移動平均線が下がっていく、という可能性もあるから、そのことは頭に置いておこう。

【買いシグナルパターン④】
価格が下降基調の移動平均線に下にあって、移動平均線より大きく乖離した時。
→(下降トレンドの戻し)短期の買いサイン。トレンド転換時には大きく取れることもある。
 

 
□このパターンは少し特殊だ。今までの話は上昇過程もしくは上昇になった時の買い場の話だったが、これは下降相場での買いの話になる。

■下降なのに、買い? 僕混乱してきました。

□焦るな焦るな。
まずテクニカル指標の中には「移動平均線乖離率」というものがあって、これは価格がどのくらい移動平均線と乖離したら移動平均線に向けて戻ってくる可能性が高いかという目線で分析する指標。

■乖離する、ってどういう時に離れていくんですか?

□急騰や急落。そして、何らかの材料で価格が大きく上がって大陽線を付けたり、価格が大きく下がって大陰線を付けた後は、それに対する利益確定の動きも出やすくなるから、価格が元の水準に戻ろうとする。これを調整の動きとも言う。

■それで一旦離れても戻ってくるだろうという性質を利用して、乖離の幅からその後の動きを分析するんですね。

□ただ、今回は移動平均線の説明だから割愛するが、どのくらい離れたら戻るかという判断が難しい指標でもある。

■確かに、急騰急落の幅もいつも一定じゃないですし。

□話を戻すと、クロスの部分を見ているわけではないから故にこのパターン④では価格と移動平均線の急な乖離を見ていく。価格が安定して下降していた場合は移動平均線との距離も一定だが、急落があって乖離した時は間隔が当然広がる。ただし、その状態がいつまでも続くわけではない。離れた後には調整が入ってくる。
 

 
■その戻るところ(つまり上昇)に合わせて、買いを仕掛けるんですね。

□この場合あくまで急な下げに対する戻しを狙っていくわけだから大きく取れるというわけではない。短期の買いサインと書いているのはそう言う意味合いだ。

■そうですよね。離れたものが戻るまでの幅ですもんね。

□それに材料が強かった場合は、戻らずそのまま下降が続く場合だってある。
しかし、トレンドの最終局面で大きな乖離が発生した時は、そこでトレンドが終了して上昇に転ずるというパターンも存在する!

■え、そうなんですか?

□下のチャートのように、下降になってもある程度耐えていた買い方が耐えきれなくなりロスカット注文を出した場合には、それは「売り」となって市場に出てくる(投げ売り)。すると決済の売りが出尽くし、そこがそのまま底になりその後価格が上昇していくというパターンもある。
 

 
■その場合はトレンドの初期から取れるから大きな利益につながりそうですね!でも、その分見極めも難しそうです…

□当然ながらテクニカル分析に100%はない。その可能性もある、と意識しておくことが大事なんだ。そしてそれが思惑外れて反対方向に行ってしまったら潔く損切りする。

■う、「損小利大」…僕が苦手なところです。

□これで買いシグナルの4パターンは以上だ。
今度は売りシグナルの4パターンも見ていこう。基本的には買いパターンの逆だからさっとまとめていくぞ。