プラチナ週間展望=もみ合い、米利下げ見通し維持が下支え

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [3月25日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  2 月限  3 月 19 日〜 3 月 22 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          10,338    10,734 (22)   10,283 (19)     10,592        +253
  銀           120.0     124.0 (22)    116.8 (21)      119.5        -0.5
 プラチナ       4,420     4,498 (19)    4,333 (21)      4,376         -40
 パラジウム     5,000     5,000 (22)    5,000 (22)      5,000           0
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        22  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 4) 2,160.0      -1.5   | ドル・円    151.44      3.15 円安
  銀       ( 3) 2,469.2     -50.8   | 日経平均  40,888.43       +2180.79
 プラチナ   ( 4)   898.4     -45.1   | NY原油 ( 5)  80.63          +0.05
 パラジウム ( 3)   992.80    -90.70  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 22日
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【前週のレビュー】
 プラチナはファンド筋の売り越しが狙われて堅調、とした。
 プラチナは、ニューヨーク市場でファンド筋が買い越しに転じたことや米国のインフ
レの伸びが加速したことを受けて戻りを売られたが、米連邦公開市場委員会(FOM
C)で年3回の利下げ予想が維持されたことを受けて下げ一服となった。現物相場は6
日以来の安値887.00ドルを付けたのち、下げ一服となった。プラチナ先限は1月
4日以来の高値4498円を付けたのち、戻りを売られた。一方、パラジウムの現物相
場は6日以来の安値974.50ドルを付けたのち、下げ一服となった。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標
を5.25〜5.50%で据え置いた。据え置きは5会合連続。金利・経済見通しによ
ると、米連邦準備理事会(FRB)当局者は依然として今年3回の利下げを見込んでい
る。パウエル米FRBは会合後の記者会見で、年初以降の指標がインフレの「高止ま
り」を示したものの、「全体的なストーリーは変わっていない」と強調した。米消費者
物価指数(CPI)でインフレの伸びが加速したことを受けて利下げ予想の後退が警戒
されたが、見通しが維持されたことを受けてドル安に振れ、金は急伸した。CMEのフ
ェドウォッチで、6月の米FOMCの利下げ確率は66.9%(前週54.6%)に上
昇し、年末までの利下げ幅は75ベーシスポイント(bp)の確率が35.1%(同
34.3%)となった。ただスイス中銀の予想外の利下げや堅調な米経済指標を受けて
ドル安が一服しており、利食い売りが上値を抑える要因である。米新規失業保険申請件
数は前週比2000件減の21万件となった。事前予想の21万5000件から予想外
に減少し、3月の雇用の伸びが引き続き堅調を維持する可能性を示唆した。
 イングランド銀行は、政策金利を約16年ぶりの高水準である5.25%に据え置い
た。前回会合まで利上げを主張して2人の委員が据え置きに転じ、ベイリー総裁は英国
経済が利下げを開始する「正しい方向に動いている」と指摘した。スイス国立銀行は、
主要金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、1.50%とした。予想外の決定
で主要中銀として初めて利下げに踏み切った。声明で「過去2年半のインフレとの闘い
が効果的であったため、今回の金融緩和が可能になった」とした。インフレ率は数カ月
前から2%を下回り、物価安定の範囲内にあると指摘した。一方、日銀金融政策決定会
合でマイナス金利解除とイールドカーブコントロール(YCC)廃止を決定した。ただ
「当面、緩和的な金融環境が継続する」と明記されたことで円相場は1ドル=151円
台後半まで円安に振れた。
【NYのプラチナETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、18日のロンドンで12.29トン
(前週末12.30トン)に減少、21日のニューヨークで31.27トン(同
31.13トン)に増加、19日の南アで11.67トン(同11.67トン)と変わ
らずとなった。またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで3.59トン(同
3.56トン)に増加、ニューヨークで6.64トン(同6.64トン)、南アで
0.48トン(同0.48トン)と変わらずとなった。ニューヨークのプラチナETF
残高が増加した。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ予想が維持されたことを
受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告
によると、3月12日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の取組は7419枚
買い越し(前週4364枚売り越し)に転じ、パラジウムの売り越しは1万0581枚
(同1万2597枚)に縮小した。
【米政権は電気自動車の比率目標を引き下げ】
 欧州自動車工業協会(ACEA)によると、2月の欧州連合(EU26)の新車(乗
用車)登録台数は前年同月比10.1%増の88万3608台となった。1〜2月は前
年同期比11.2%増の173万6679台となった。電気自動車(EV)が12%占
めている。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、借り入れコストの引き下げを開
始した後も、あらかじめ設定した回数の利下げにコミットすることはできないと述べ
た。
 バイデン米政権は、新車販売のうち普通乗用車に占める電気自動車(EV)の比率を
2032年までに67%とするとしていた従来の目標を35%に引き下げた。早急なE
V普及の促進に対する反対の声が強いことが影響したとみられている。米環境保護局
(EPA)は、こうした目標修正に伴って自動車メーカーがハイブリッド車(HV)を
通じて排出量基準を達成できる余地を大きく広げることができる規則を採用した。
当面の予定(イベント・経済統計)
25日 金融政策決定会合議事要旨公表 1月22-23日分(日本銀行)
    米新築住宅販売 2024年2月(商務省)
26日 米耐久財受注 2024年2月速報値(商務省)
    米ケース・シラー住宅価格指数 2024年1月(S&P)
    米消費者信頼感指数 2024年3月(カンファレンスボード)
27日 中国工業利益 2024年2月(国家統計局)
    政策金利公表(南アフリカ準備銀行)
28日 英国内総生産 確報値 2023年10-12月期(国立統計局)
    独雇用統計 2024年3月(連邦雇用庁)
    米国内総生産 2023年10-12月期確報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    シカゴ購買部協会景気指数 2024年3月(シカゴ購買部協会)
    米消費者信頼感指数 2024年3月確報値(ミシガン大)
    米中古住宅販売仮契約指数 2024年2月(全米不動産協会)
29日 ●豪州、香港、欧州、米国、カナダ(聖金曜日)
    労働力調査(失業率) 2024年2月(総務省)
    鉱工業生産指数 2024年2月速報(経済産業省)
    小売業販売額 2024年2月速報(経済産業省)
    米個人所得・支出 2024年2月(商務省)
    米卸売在庫 2024年2月速報値(商務省)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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