プラチナ週間展望=下げ一服、安値維持や予想以下の米経済指標で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [6月24日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  4 月限  6 月 17 日〜 6 月 21 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          11,766    12,113 (21)   11,727 (17)     12,095          +319
  銀           147.5     157.0 (21)    146.5 (19)      157.0          +9.5
 プラチナ       4,857     5,054 (21)    4,795 (17)      5,043          +168
 パラジウム     4,600     4,600 (17)    4,600 (17)      4,600             0
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        20  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 8) 2,369.0     +19.9   | ドル・円    158.96      0.73 円安
  銀       ( 7) 3,082.1    +134.9   | 日経平均  38,596.47       -218.09
 プラチナ   ( 7)   984.3     +25.7   | NY原油 ( 8)  81.29         +3.24
 パラジウム ( 9)   915.50    +17.00  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 20日
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【前週のレビュー】
 プラチナは米連邦公開し条委員会(FOMC)のタカ派姿勢が圧迫、とした。
 プラチナは安値を維持し、買い戻し主導で上昇したことや予想以下の米経済指標を受
けて下げ一服となった。現物相場は7日以来の高値989.01ドルを付けた。プラチ
ナ先限は10日以来の高値5054円を付けた。一方、パラジウムの現物相場は7日以
来の高値931.13ドルを付けた。
 5月の米小売売上高は前月比0.1%増と、事前予想の0.3%増を下回った。4月
分は下方改定され、第2四半期入り後も経済活動が低調だった可能性を示唆した。米鉱
工業生産指数は、製造業の生産指数が前月比0.9%上昇と予想の0.3%上昇を上回
った。過去2カ月の落ち込みの全てを取り戻したが、金利上昇と需要の冷え込みによ
り、勢いが持続する可能性は低いとみられる。米住宅着工件数は前月比5.5%減の
127万7000戸と、2020年6月以来の低水準となった。事前予想は138万
件。住宅ローン金利の高止まりが響いた。米新規失業保険申請件数は前週比5000件
減の23万8000件と、前週の大幅増から減少に転じた。労働市場は緩やかに減速し
つつあるものの、なお堅調を維持している兆候を示唆した。
 一方、米金融当局者の利下げに慎重な発言が目立ったことは上値を抑える要因であ
る。米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、米連邦準備理事会(FRB)による利
下げ支持を検討する前にさらに数カ月分の経済データを分析する必要があると述べた。
米ボストン地区連銀のコリンズ総裁は、このところのインフレ指標で物価上昇圧力が後
退しつつある可能性が示されていることに一喜一憂してはならないと警告した。クーグ
ラー米FRB理事は、インフレ低下の兆しが出ているとの認識を示し、インフレ率は現
時点でなお高すぎるものの、経済情勢が「正しい方向」に進み続ける限り、年内の利下
げ開始が適切になると述べた。米セントルイス地区連銀のムサレム総裁は、米FRBは
インフレ低下、需要緩和、供給拡大が「数カ月、または数四半期」にわたって続いたと
確認してから利下げに踏み切るべきとの考えを示した。米ミネアポリス連銀のカシュカ
リ総裁は、金融当局はインフレ率を目標の2%へと引き下げるとしつつ、それには1、
2年かかる可能性が高いとの見解を示した。CMEのフェドウォッチで、米連邦準備理
事会(FRB)の9月の利下げ確率は57.9%(前週61.1%)となった。
【米国のプラチナETF残高の減少が目立つ】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、19日のロンドンで24.93トン
(前週末24.84トン)に増加、20日のニューヨークで27.45トン(同
32.37トン)に減少、19日の南アで11.96トン(同11.96トン)と変わ
らずとなった。またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで3.76トン(同
3.77トン)、ニューヨークで9.49トン(同9.76トン)に減少、南アで
0.45トン(同0.45トン)と変わらずとなった。米国のプラチナETF残高の減
少が目立った。予想以下の米経済指標を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期
待が高まったが、年内の利下げはないとの見方も出ており、戻り場面で投資資金が流出
した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月11日
時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万5698枚(前週2万
2566枚)に縮小、パラジウムの売り越しは1万3914枚(同1万2672枚)に
拡大した。
【5月の欧州の新車登録減少も年初来前年比で増加】
 欧州自動車工業協会(ACEA)によると、5月の欧州連合(EU26)の新車(乗
用車)登録台数は前年同月比3.0%減の91万1697台となった。1〜5月は前年
同期比4.6%増の459万4493台となった。欧州中央銀行(ECB)理事会で主
要政策金利の0.25%ポイント引き下げを決定した。ECB理事会メンバーのクノッ
ト・オランダ中銀総裁は、インフレ率が目標の2%に向かいつつあるとして、今年中に
あと1回か2回の利下げを実施するとの市場予想を支持すると述べた。ECBの利下げ
が続くようなら、新車登録の増加につながりそうだ。
当面の予定(イベント・経済統計)
24日 独景況感指数 2024年6月(ifo)
    建玉明細報告(CFTC)
25日 貴金属取引 2024年6月限納会(大阪取引所)
    米ケース・シラー住宅価格指数 2024年4月(S&P)
    米消費者信頼感指数 2024年6月(カンファレンスボード)
26日 貴金属取引 2025年6月限発会(大阪取引所)
    米新築住宅販売 2024年5月(商務省)
27日 小売業販売額 2024年5月速報(経済産業省)
    中国工業利益 2024年5月(国家統計局)
    米国内総生産 2024年1-3月期確報値(商務省)
    米卸売在庫 2024年5月速報値(商務省)
    米耐久財受注 2024年5月速報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米中古住宅販売仮契約指数 2024年5月(全米不動産協会)
28日 労働力調査(失業率) 2024年5月(総務省)
    鉱工業生産指数 2024年5月速報(経済産業省)
    英国内総生産 確報値 2024年1-3月期(国立統計局)
    独雇用統計 2024年6月(連邦雇用庁)
    米個人所得・支出 2024年5月(商務省)
    シカゴ購買部協会景気指数 2024年6月(シカゴ購買部協会)
    米消費者信頼感指数 2024年6月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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