7日に2月の米雇用統計が発表されます。 まずは前回1月の雇用統計の振り返りです。 前回1月の雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+14.3万人と、市場予想の+16.9万人、12月の+30.7万人(+25.6万人から上方修正)を大きく下回りました。ただ、前回の発表で米労働省が行う年次改定の結果が反映されており、12月だけでなく11月が+21.2万人から+26.1万人に上昇修正、その前は逆に下方修正が目立ち2024年1年を通じると+223.2万人から+199.6万人と、元々の数字にぶれが生じていることもあり、市場の反応は限定的でした。 失業率は4.0%と市場予想及び12月の4.1%から低下しています。U6失業率(正社員を望みながらパートタイムに従事している人などを含む広義の失業率)は7.5%で12月と同水準でした。 NFPの内訳を確認すると、民間雇用は+11.1万人と12月の+27.3万人から大きく伸びが鈍化しました。12月はマイナスとなった製造業は+0.3万人と小幅ながらプラス圏を回復。建設業は+0.4万人とこちらも小幅プラスでしたが、鉱業が-0.7万人で財部門全体では増減なしとなっています。 +11.1万人となった民間サービス部門は、小売業が+3.4万人と12月の+3.6万人に続いて好調さを維持しました。介護など人手不足の部門を抱え、基本的にしっかりしたプラスが続いている教育・医療部門は+6.1万人と、12月の+8.2万人からは鈍化も、大幅増の流れを維持しています。一方、弱かったのが11月は+5.4万人、12月は+4.9万人と好調であった娯楽・接客部門で-0.3万人と昨年6月以来のマイナスとなりました。娯楽部門(スポーツ、芸術、アミューズメントなど)は+1.48万人と好調でしたが、接客部門、なかでも単体で1200万人以上の雇用を抱える飲食部門が-1.57万人と12月の+4.58万人から一気に悪化し、全体を押し下げました。雇用の流動性が高いこと、そもそも雇用者の数が多く人数ベースでの変化が大きくなりがちなことなどから、大きな懸念にはつながりませんでしたが、景気に敏感な部門でもあるだけに少し警戒されています。 今回の雇用統計の関連指標を確認します。 週間ベースの新規失業保険申請件数は、雇用統計のデータ調査週である12日を含んだ週の数字の比較で1月が22.3万件、2月が21.9万件と2月が若干強いものの、ほぼ同水準です。 2月25日の2月米コンファレンスボード消費者信頼感指数は98.3と1月の105.3から大きく低下。市場予想の102.5と比べてもかなり弱い数字となりました。内訳のうち雇用部門をみると、雇用が十分にあるとの回答から、職を見つけるのが困難であるとの回答を引いた数字が2月は17.1と1月の19.4、12月の22.2から低下しており、こちらも厳しい数字です。 その他関連指標は今週これからの発表です。 3日の2月ISM製造業景気指数の市場予想は50.5と1月の50.9から小幅鈍化。もっとも前回の同指標は12月の49.2から一気に上昇。市場予想の49.8も超えて、2022年9月以来の高水準を付けています。好悪判断の境となる50を超えたのも2022年10月以来2年超ぶりです。また内訳のうち雇用部門は50.3と12月の45.4から一気に上昇し、昨年5月以来の50超えとなりました。 5日の2月同非製造業は53.0と1月の52.8から小幅上昇見込みです。前回は製造業とは違い12月及び1月市場予想の54.0を下回る弱めの数字となっていました。ただ内訳のうち雇用部門は52.3と12月の51.3から改善していました。 同じく5日の2月ADP雇用者数は前月比+13.3万人と1月の18.3万人から大きく鈍化見込みです。なお、1月の米雇用動態調査(JOLTS)は11日の発表で雇用統計後になります。 こうした状況を受けた今回の予想ですが、非農業部門雇用者数が前月比+15.5万人と1月の+14.3万人から小幅改善。ただ、水準的にはやや弱めという印象です。失業率は4.0%で維持される見込みです。 失業率の4.0%という水準はかなり強い印象だけに、非農業部門雇用者数が市場予想前後であれば動きは限定的と見られます、予想に反して前回よりも伸びが鈍化するようだと、いったんドル売りが広がる可能性があります。 MINKABUPRESS 山岡
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