石油週間見通し=目先は陰の極が焦点か、米国の相互関税発表で崩落

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油5月限のここまでの高値は70.22ドル。半値
戻しの70.71ドルが次の上値目標となるが、さらに上値を目指すか否か注目される
とした。

【NY原油5月限は「往って来い」に近い崩落】
 ニューヨーク原油はトランプ政権の相互関税発表で崩落する展開となっている。5月
限は2日に72.28ドルまで上伸して、61.8%戻しの72.09ドルを達成した
が、その後は崩落した。3日の安値は65.98ドルとなっており、すでに3月5日の
安値64.85ドルから前述の高値までの上げ幅の78.6%押し(66.44ドル辺
り)を達成している。全値押しの「往って来い」となる65ドル台割れの可能性も高ま
っている。目先はセリング・クライマックス(陰の極)がどの水準でどのタイミングで
到来するのかが焦点となりそうだが、いずれにせよ、当面はレンジダウンした展開が続
くのは避けられない状況となってきた。

 材料的には、2日のトランプ政権の相互関税発表が最大の圧迫要因。これで世界的な
景気悪化懸念から世界的な株安、円高進展とリスクオフの動きが鮮明となり、最も景気
に敏感な商品と言える原油も崩落を余儀なくされた。
 加えて、4月から日量13万8000バレルの自主減産枠の縮小(つまり増産)を実
施している石油輸出国機構(OPEC)プラスが5月からそれを同41万1000バレ
ルの増産に引き上げることを発表したことも弱気された。ただ、相場が急落したことで
今後それを翻す可能性も十分にあるため注意したい。

 加えて注意したいのは、ロイター通信によると、石油、ガス、石油製品の輸入につい
て、2日に発表された新たな関税の対象から外されることが明らかになったこと。この
辺は米石油業界のロビー活動が奏功したと言えそうだ。

 中東の地政学的リスクに関しては、米ニューズウィーク誌が米国のイラン攻撃の可能
性を煽っている。3月上旬に送ったトランプ米大統領から同国最高指導者のハメネイ師
への書簡に対する返信がなければ、5月上旬に攻撃の可能性があるとしている。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は大きく崩れる展開。目先は4万ドル
の節目を維持できるか否かが焦点となってきた。
 ドルインデックスは大きく崩れる展開。104ポイント台から101ポイント台半ば
まで急落している。
【ゴールドマンサックス、原油の予想平均価格を引き下げ】
 米金融機関、ゴールドマンサックスは4日、今年のブレント原油の予想平均価格を
69ドル、ニューヨーク原油を66ドルとして、それぞれこれまでの予想より
5.5%、4.3%引き下げた。なお、来年はさらに引き下げて、ブレント原油が62
ドル、ニューヨーク原油を59ドルとして、長期的に弱気の見通しとなっている。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である9月限は高値から2本の長大陰線を引いて崩落した。すでに
ボリンジャーバンドの—1シグマ(6万1520円辺り)を下回っており、6万円の節
目やそれに近い—2シグマ(5万9550円辺り)が下値目標となっている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル】
 ニューヨーク原油5月限は、3月に積み上げてきたものを一気に崩落させる展開。現
状はボリンジャーバンドの—1シグマ(66.30ドル辺り)を試している。

 ブレント原油6月限も同様の崩落。70ドルの節目やその下にあるボリンジャーバン
ドの—1シグマ(69.48ドル辺り)を試す展開。


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