<金> NY金6月限は米トランプ政権による関税政策に対する警戒感から3月27日以降は 一代の高値を更新し続ける動きとなり、今月2日に3201.6ドルまで一代の高値を 切り上げた。その後3日に急落に転じて3073.5ドルと3月27日以来の安値に達 する場面も見られたが終値ベースでは下げ幅を縮小し、5日間移動平均を下値支持線に し3100ドル台を回復してこの日の取引を終えた。 米トランプ政権が現状を考慮した上で国・地域別の相互関税を発表したうえ、輸入自 動車に対する25%の追加関税を発動したことで、世界経済への影響に対する警戒感が 強まり、安全な投資先としての需要は一段と根強いものとなっている。 SPDRの金ETF残高は3日時点で936.24トンまで膨らんでおり、逃避買い 需要が今後もNY金の下支え要因になってくると見られる。 今回の世界経済不安が米国発のものだけに、米ドル・米債券以外に安全な投資先を求 める資金が向かっていることも万国共通の安全資産であるNY金を支える要因となって いる。 すでに米相互関税および輸入自動車への追加関税が明らかとなったことで不確実性が 後退し、今後は材料織り込み感が強いなかでの高下になると見られるため、再び一代の 高値を更新する可能性は低下しているが、3100ドルが下値支持線になっての高もみ あい継続が見込まれる。ただし金融市場の混乱を受け、リスク回避の動きが強まると投 げ売りで予想以上の下げになる可能性はあり、注意したい。 <銀> NY銀5月限は3日のNY市場で暴落となった。NY金の強い足取りに追随高となり 3月28日には3549.5セントに達したうえ、その後も値を落としながらも 3400セントを下値支持線とする高もみが続いていたが、米相互関税の発表と米輸入 自動車追加関税の発動によって材料織り込み感が強まると同時に、世界経済不安が高ま るなかリスク回避のための売りが活発化した形となっている。 268セントもの下げ幅を記録し3月3日以来の低い水準まで一気に値を落とした後 だけに、売り警戒感から買い戻す動きも想定されるが、安全資産としての役割は薄いだ けに上値は重く3200セント割れから一段安リスクがあると予想する。 <白金> NY白金7月限は4月3日の取引で大きく崩れて950.3ドルを付け3月3日以来 の低水準に達した。 米国による相互関税発表と自動車輸入関税の引き上げを受けた世界景気不安に加え、 自動車触媒用としての白金需要後退懸念も弱材料となっている。安全資産としての金と は異なり、買いの手がかりに欠ける状態が続くなか950ドル割れリスクがある低迷場 面が想定される。 <パラジウム> パラジウム6月限は大幅安となった金や白金の足取りを受けて急落に転じ3日の取引 では925.50ドルまで値を切り下げている。 3月下旬以降の上げ幅を一気に相殺した形ながら、独自の要因に乏しいため、白金に 連動しての頭重い足取りとなりそうだ。 MINKABU PRESS
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