金・銀週間展望=上げ一服、関税交渉の合意見通しが圧迫

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [7月28日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  6 月限  7 月 22 日〜 7 月 25 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          16,134    16,326 (23)   15,958 (25)     16,005          -85
  銀           189.8     196.9 (22)    178.0 (25)      178.0         -5.0
 プラチナ       6,200     6,293 (24)    6,040 (25)      6,070         -118
 パラジウム     6,100     6,100 (22)    5,900 (25)      5,900         -200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        25  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 8)  3,335.6    -22.7   | ドル・円    146.94      1.84 円高
  銀       ( 9)  3,819.0     -9.9   | 日経平均  41,456.23      +1637.12
 プラチナ   (10)  1,422.8    -33.8   | NY原油 ( 9)  65.16         -0.89
 パラジウム ( 9)  1,254.70   -48.30  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 25日
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【前回のレビュー】
 金は堅調な米経済指標と米大統領のFRB攻撃でもみ合い、とした。
 金は米政権の連邦準備理事会(FRB)に対する圧力を受けて買い優勢となったが、
日米の関税合意に加え、米国と欧州連合(EU)の合意見通しを受けて利食い売りが出
た。現物相場は6月16日以来の高値3438.57ドルを付けたのち、上げ一服とな
った。金先限は上場来高値1万6326円を付けたのち、上げ一服となった。
 トランプ米政権は、米連邦準備理事会(FRB)の本部を訪問する方向で調整した。
25億ドル規模の改修に関する審査が目的という。またベセント米財務長官は、FRB
全体を一つの組織として検証し、これまで組織として成功してきたかどうかについて検
討する必要があるとの認識を示した。米大統領は24日、FRB本部を訪問し、ホワイ
トハウスが費用をかけ過ぎとして批判を強めているFRB本部の改修現場を視察した。
改めて利下げを求める一方で、パウエルFRB議長を解任するつもりはないと明言し
た。
 トランプ米大統領は日本との貿易交渉で合意した。米国が自動車への関税を引き下げ
る一方、日本側は米国向けに5500億ドル規模の投資や融資の枠組みを設けることな
どが盛り込まれた。米国と欧州連合(EU)の関税交渉では、15%に設定することで
合意する可能性があるという。各国との交渉が期限となる8月1日までにまとまるとの
見通しが高まった。またベセント米財務長官は、米中が28〜29日にストックホルム
で協議を行うと明らかにした。8月12日を期限とする米中間の一部関税停止を延長す
る可能性について協議する。
【金ETF残高は増加】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は24日時点で
1145.42トンとなり、前週末比13.33トン増加した。米国で13.46ト
ン、オーストラリアで0.03トン増加、英ETFSで0.11トン、南アで0.06
トン減少した。関税交渉の合意見通しが圧迫要因になったが、押し目買いが入った。一
方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月15日時点のニ
ューヨーク金の大口投機家の買い越しは21万3115枚となり、前週の20万
2968枚から拡大した。今回は新規買いが8542枚、買い戻しが1605枚入り、
1万0147枚買い越し幅を拡大した。
 7月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は61.8と6月確報値の60.7から
上昇し、事前予想の61.5を上回った。1年先の期待インフレ率は4.4%、5年先
は3.6%で、ともに前月の5.0%、4.0%から低下。それぞれ5カ月ぶり、2月
以来の低水準となった。米新規失業保険申請件数は4000件減の21万7000件と
なった。6週間連続で減少した。3カ月ぶりの低水準となり、労働市場の安定が示され
た。7月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.6と前月の52.9か
ら上昇し、昨年12月以来の高水準となった。ただ企業は財(モノ)やサービスの値上
げに動いており、関税の影響でインフレが下半期に加速するとのエコノミストの見方を
裏付ける内容となった。CMEのフェドウォッチで、30日の米連邦公開市場委員会
(FOMC)では金利据え置きが見込まれている。
【銀は2011年9月以来の高値】
 銀の現物相場は2011年9月以来の高値39.51ドルを付けたのち、金軟調を受
けて上げ一服となった。米国の関税交渉の合意期待を受けて株高に振れたことが支援要
因になったが、金に利食い売りが出たことに上値を抑えられた。関税交渉の行方を引き
続き確認したい。
 24日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比549.61
トン増の1万5207.82トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)
の建玉明細報告によると、7月15日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは
5万9448枚となり、前週の5万8521枚から拡大した。新規買いが新規売りを上
回った。
当面の予定(イベント・経済統計)
28日 香港貿易収支 2025年6月(香港統計局)
29日 英マネーサプライ 2025年6月(BOE)
    米卸売在庫 2025年6月速報値(商務省)
    米ケース・シラー住宅価格指数 2025年5月(S&P)
    米消費者信頼感指数 2025年7月(カンファレンスボード)
    米連邦公開市場委員会(FRB)1日目
30日 金融政策決定会合(日本銀行)1日目
    ユーロ圏国内総生産 2025年4-6月期速報(EUROSTAT)
    全米雇用報告 2025年7月(ADP)
    米国内総生産 2025年4-6月期速報値(商務省)
    米中古住宅販売仮契約指数 2025年6月(全米不動産協会)
    米FOMC声明文公表(FRB)
    政策金利発表(カナダ銀行)
31日 鉱工業生産指数 2025年6月速報(経済産業省)
    小売業販売額 2025年6月速報(経済産業省)
    総裁記者会見(日本銀行)
    中国製造業購買担当者景況指数 2025年7月(中国物流購買連合会)
    中国非製造業購買担当者景況指数 2025年7月(中国物流購買連合会)
    ユーロ圏雇用統計 2025年6月(EUROSTAT)
    独消費者物価指数 2025年7月速報(連邦統計庁)
    政策金利公表(南アフリカ準備銀行)
    米個人所得・支出 2025年6月(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米雇用コスト指数 2025年4-6月期(労働省)
    シカゴ購買部協会景気指数 2025年7月(シカゴ購買部協会)
 1日 ●スイス(建国記念日)
    労働力調査(失業率) 2025年6月(総務省)
    中国製造業購買担当者景況指数 2025年7月(財新)
    ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年7月確報(Markit)
    ユーロ圏消費者物価指数 2025年7月速報(EUROSTAT)
    米雇用統計 2025年7月(労働省)
    米製造業景況指数 2025年7月(ISM)
    米消費者信頼感指数 2025年7月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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