石油週間見通し=高値から崩れる展開、NY原油は60ドルの節目維持が焦点

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油11月限は新月だった9月22日の61.61ド
ルを目先の底として大きく反発。目先の上値目標は一代安値〜一代高値のレンジの高値
から38.2%押し(安値から61.8%戻し)に当たり節目にも近い66.02ドル
辺りとなりそうだした。

【NY原油11月限は60ドルの節目テストか】
 ニューヨーク原油11月限は前回の当欄の予想からはややオーバーシュート(行き過
ぎ)したが、9月26日の66.42ドルを目先の天井としてその後は大きく崩れた。
またこれも何度か指摘してきた8月以降、支持線として機能している一代安値〜一代高
値のレンジの高値から61.8%押し(安値から38.2%戻し)に当たる61.47
ドルも割り込み、2日には60.40ドルの安値を付けた。
 現状は21日のボリンジャーバンドの−2シグマ(60.53ドル辺り)を試してい
るが、目先は60ドルの節目で支持されるか否か、それを割り込むと、前述の一代高値
からの78.6%押しに当たる58.23ドル辺りまで下げ余地が拡大することにな
る。
 日柄的には7日が満月のため、その辺りで目先の底入れする可能性も考えておきた
い。

 材料的には、5日に石油輸出国機構(OPEC)プラスの主要8カ国によるオンライ
ン会合が開催される予定で、そこで11月の生産計画が協議される予定だが、10月の
日量約13万7000バレル増産に続き、さらに増産が合意される見込みで、一部の関
係者の声として、同50万バレルの大幅増産の指摘も聞かれる。
 OPECプラスの主要8カ国は4月以降それまでの自主減産枠日量166万バレルを
暫時縮小(つまり増産)してきたが、その自主減産枠を既に解消しており、10月から
さらに増産に転じている。
 原油相場にとっては、実際の発表であく抜けする可能性もあるが、発表までは買いに
くい展開が続きそうだ。
 なお下落場面ではあまり材料視されていないが、ウクライナのロシアの石油施設攻撃
が続いている。ロシアは深刻なガソリン不足によりすでに輸出を停止しているが、直近
もモスクワ近郊のヤロスラブリ製油所で大規模火災が発生しており、現地の独立系メデ
ィア「RBC」の推定では、ロシア国内の約38%の製油所の稼働が停止しているとい
う。
 そのような背景で、インド、中国はロシアから石油製品を輸入できなくなっている
が、原油に関しても、インドのロシア産原油を輸入しているタンカーが仏海軍に拿捕さ
れる事案が発生した。インドがロシアの国営石油会社ロスネフチからウラル原油10万
トンを買い付けたが、それを積載してプリモルスク港を出発して、インドのバディナー
ル港に向かっていたタンカー、ボラカイ号が9月27日に仏海軍に拿捕された。
 このようなリスクを考えると、今後インドや中国のロシア産原油からの輸入シフトも
加速しそうで、中長期的にはそのシフトによる代替需要が注目される可能性がありそう
だ。
 また1日には、先進7カ国(G7)財務相がオンライン会合を実施して、ロシアの原
油輸出に対して圧力を最大化する時だという共同声明を発表した。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は再び4万6000ドル台に乗せて、
過去最高値圏を維持。
 ドルインデックスは9月下旬の上昇相場も98ポイント台前半で頭打ちとなり、97
ポイント台まで軟化。

【米政府政府機関の一部閉鎖、つなぎ予算案の行方に注目】
 その他のニュースとして、米国で連邦予算の失効に伴う政府機関の一部閉鎖が10月
1日から続いている。これは2018年以来のことだが、現時点では暫定予算(つなぎ
予算)案を巡る与野党の溝は埋まらず、週内に閉鎖解消は困難な情勢とされている。
 現在のところ、ダウ平均株価が高値圏を維持して、ドル安に振れていることで原油相
場にもあまり材料視されていないが、長期化すると当然悪影響を及ぼすことになろう。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である3月限は指標限月になったばかりでチャートが見にくいが、
直近2営業日は陰線引けで、安値でボリンジャーバンドの−2シグマ(5万9200円
辺り)を割り込んだ。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油11月限は9月26日は高値でボリンジャーバンドの2シグマ
(65.45ドル辺り)を上回ったものの、その後は4営業日連続で陰線引けとなり、
逆に安値では−2シグマ(60.53ドル辺り)を割り込んだ。

 ブレント原油12月限もほぼ同様の展開。9月26日は高値でボリンジャーバンドの
2シグマ(69.09ドル辺り)を上回り、70ドル台手前まで上昇したものの、その
後の4営業日連続で陰線引けとなり、逆に−2シグマ(64.28ドル辺り)を割り込
んだ。

<当面の予定>
 6日【休日】中国国慶節(8日まで)
   【経済】ユーロ圏小売売上高 2025年8月(EUROSTAT)

 7日【経済】全世帯家計調査・消費支出 2025年8月(総務省)
   【経済】景気動向指数 2025年8月速報(内閣府)
   【経済】独製造業受注 2025年8月(経済技術省)
   【経済】仏国際収支 2025年8月(フランス銀行)
   【経済】仏貿易収支 2025年8月(INSEE)
   【経済】米貿易収支 2025年8月(商務省)
   【経済】米消費者信用残高 2025年8月(FRB)
   【工業】米週間石油統計(API)
   【工業】米短期エネルギー見通し・月報(EIA)

 8日【経済】国際収支(経常収支) 2025年8月(財務省)
   【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 2025年9月(財務省)
   【経済】景気ウォッチャー調査 2025年9月(内閣府)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】独鉱工業生産指数 2025年8月(経済技術省)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米FOMC議事録公表 9月16-17日(FRB)
   【工業】米週間石油統計(EIA)

 9日【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 9月28日-10月4日(財務省)
   【経済】独貿易収支 2025年8月(連邦統計庁)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米卸売在庫 2025年8月確報値(商務省)

10日【経済】企業物価指数 2025年9月(日本銀行)
   【経済】米消費者信頼感指数 2025年10月速報値(ミシガン大)
   【経済】米財政収支 2025年9月(財務省)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
    【工業】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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