[Vol.1034] 世界の石油消費は年末に「10割経済」か

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.71ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,803.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は13,315元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年08月限は444.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで718.3ドル(前日比7.4ドル縮小)、円建てで2,544円(前日比42円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月9日 19時16分頃 先限)
6,382円/g 白金 3,838円/g
ゴム 217.0円/kg とうもろこし 33,690円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「世界の石油消費は年末に「10割経済」か」

前回は、「OPECプラス、世論を味方に限定的増産を画策か?」として、OPECプラスの体制、および近年のOPECプラスの原油生産量の推移と今後の動向について書きました。

今回は、「世界の石油消費は年末に「10割経済」か」として、世界全体の石油消費の動向について書きます。

この1カ月間、報道で何度か「NY原油100ドル」という言葉を目にしました。筆者が考える、100ドルに達するために必要な条件は以下の通りです。

1.産油国の供給削減ムードが続く。
「脱炭素」起因の下落圧力を相殺。産油国の「アナウンス」も重要。
2.実態を伴う消費回復が続く。
緩やかな需要回復ムードが「株高⇔原油高」の好循環を醸成。
3.期待(好ムード)が現実化しない。
「期待」が価格上昇の源泉。現実化してはならない。
4.市場規模が縮小する。
規模縮小→価格の振れ幅大。上振れ時、振れ幅が大きくなる。

この条件の中で最も力強い条件になり得ると考えるのは、2の「実態を伴う消費回復が続く」です。緩やかな需要回復ムードが「株高⇔原油高」の好循環を醸成するシナリオです。

EIA(米エネルギー情報局)は、以下のグラフのとおり、世界の石油消費は2021年12月ごろには、コロナ前の水準まで回復する見通しを示しています。

以前の「世界の石油消費は「7割経済」の最中」で述べた7割経済が、年末にようやく「10割経済」になる可能性が示されているわけです。この「10割経済」が実現すれば、世界の石油消費量は今よりも増加することになります。

具体的な量の面で言えば、以前の「OPECプラス、世論を味方に限定的増産を画策か?」で述べた、OPECプラスの削減幅縮小観測が現実のものとなり、2021年5月から12月にかけて減産実施国の原油生産量が日量280万バレル増加したとしても、「10割経済」が実現した場合、生産量の増加を相殺して余りあるだけの消費増加が見込まれている(同日量520万バレル増加)わけです。

OPEC増産でも需給バランスが引き締まる可能性がある点は、原油相場100ドル到達の可能性を引き上げていると、筆者は考えています。

図:世界の石油消費(EIAの見通しあり) 単位:百万バレル/日量


出所:EIA(米エネルギー情報局)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。