[Vol.1048] 五輪は多様性を紡ぐことの重要性を教えてくれている

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.30ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,809.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は13,510元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年09月限は449.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで761.3ドル(前日比7.5ドル縮小)、円建てで2,623円(前日比27円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月2日 17時51分頃 先限)
6,371円/g 白金 3,748円/g
ゴム 217.5円/kg とうもろこし 33,820円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「五輪は多様性を紡ぐことの重要性を教えてくれている」

前回は、「社会の変化が五輪選手の女性比率と金相場を変えた」として、前々回、前回と同様、夏季五輪に係る各種データに注目しました。金(ゴールド)相場を分析する際のアイディアを練る上で、これらのデータは確認する意味があると、考えたためです。

今回は、「五輪は多様性を紡ぐことの重要性を教えてくれている」として、直近の過去4回で述べた、夏季五輪に係る各種データから、金(ゴールド)相場を分析する際のアイディアを練る上での、筆者が考えるポイントを述べます。

各種データから、五輪は一定程度、「多様性」を紡いできたと考えられます。女性選手の参加比率が大きく上昇していることや、メダル裏面のデザインを開催国が選べるようになったことなどが、その根拠です。

五輪が多様性を紡いでいた点を、金相場を分析する際に役立てるとすれば、「多様性」を紡ぐことを、自分自身の中で行うことだと、筆者は考えています。この点は、以前の本欄で、何度か述べた「材料を点で見ないこと」につながります。

「有事と言えば金高」、「株安と言えば金高」などと、材料を点で見る旧態依然の分析手法では、現代の金相場を正しく分析できません、北朝鮮がミサイルを数十発撃った年の金相場の上昇率がわずか10%前後だったことや、金相場が2020年8月に高値を更新した際、株高が進行していたことを考えれば、わかります。

自分自身の中で多様性を紡ぐことは、以下の金市場に関わる6つのテーマを俯瞰すること、換言すれば、「6つのテーマを同時に尊重する」ことです。この点が、一定程度「多様性」を紡ぐことを体現してきた五輪や金メダルの姿から得られた、金相場の今を説明し、今後を読むために役立つ考え方です。

図:金(ゴールド)市場を取り巻く6つのテーマ


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。