[Vol.2035] 金(ゴールド)、一時、最高値更新

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。62.02ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。3,392.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年01月限は15,820元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年10月限は486.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2048.35ドル(前日比10.95ドル拡大)、円建てで10,105円(前日比11円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月18日 17時19分時点 6番限)
16,012円/g
白金 5,907円/g
ゴム 318.7円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物 日足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 日足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「金(ゴールド)、一時、最高値更新」
前回は、「長期視点の食料価格の高止まり・上昇は続く」として、世界三大穀物(トウモロコシ、コメ、小麦)の一人当たり消費量を確認しました。

今回は、「金(ゴールド)、一時、最高値更新」として、海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移を確認します。

8月前半、金(ゴールド)相場は、歴史的高値を更新しました。その様子を見て「有事で上昇した」と考えた人は、少なくなかったかもしれません。しかし、現代の金相場は、もっと壮大な理由で動いています。これらの点を含め、金投資に直接的に役立つ一歩踏み込んだ情報を、お伝えします。

ニューヨーク金先物(中心限月)は、8月8日のアジア時間に1トロイオンス(約31.1グラム)あたり3530ドルを超え、歴史的高値を更新しました。国内外の金(ゴールド)の現物価格も、以下の通り、長期視点の高値水準に到達しました。

歴史的高値を更新した後は、利益確定の売りが膨らんだこと、米国の関税引き上げをきっかけとした悲観論が後退して主要な株価指数が急反発したこと、トランプ米大統領とプーチン露大統領が会談を行いウクライナ情勢が鎮静化に向けて前進するとの思惑が広がったことなどがきっかけとなり、やや反落しました。

こうした短期的な高値更新・反落に、米国の金(ゴールド)の輸入関税をめぐる報道が関わっていたとの見方もあります。

8日に英フィナンシャル・タイムズが同税の引き上げを示唆しました。これを受け、米国国内で金(ゴールド)のモノ不足が発生する懸念が広がり、相場に上昇圧力がかかりました。しかし、11日にトランプ氏が「関税を課さない」と述べたことで、モノ不足の懸念が後退して上昇圧力が弱まりました。

金相場は、やや反落したとはいえ、長期視点ではまだまだ高水準を維持しています。さまざまな材料がもたらす上下の圧力を受けながら、金相場は動いているのです。

図:海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(1975年1月7日~2025年8月15日)
図:海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(1975年1月7日~2025年8月15日)
出所:LBMAおよび国内地金大手のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。