サウジを除いた減産参加国10カ国は、減産に消極的

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。54.99ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1473.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年1月限は11555元/トン近辺で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。9月限は430.5元/バレル近辺で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで614.0ドル(前日比4.6ドル縮小)、円建てで2046円(前日比2円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(8月6日17時10分頃 先限)
 4982円/g 白金 2936円/g 原油 36750円/kl
ゴム 166.7円/kg とうもろこし 23500円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「サウジを除いた減産参加国10カ国は、減産に消極的」

引き続き、海外メディアが先週公表したOPECの7月の原油生産量について書きます。

以前の「サウジの孤軍奮闘=OPECの足並みの乱れ」で触れたとおり、海外主要メディアが報じたデータによれば、今年1月から7月までOPEC全体の原油生産量は日量156万バレルの減少となりました。

その156万バレルの減少のうち、半分以上(51.9%)にあたる81万バレルが、減産免除国による減少であることを書きました。

一方、減産参加国について、サウジについては前回の「なぜ、サウジは孤軍奮闘するのか?」で触れました。

サウジの原油生産量は大きく減少しており、上記の156万バレルのうち、38.4%にあたる60万バレル減となっています。

では、サウジ以外の減産参加国の原油生産量はどのような状況なのでしょうか。

以下のグラフはサウジを除く、10カ国の減産参加国の原油生産量の合計を示したものです。

サウジ以外の減産参加国10カ国とは、イラク、クウェート、UAE、ナイジェリア、アルジェリア、赤道ギニア、コンゴ共和国、アンゴラ、ガボン、エクアドルです。

この10カ国の1月から7月にかけての原油生産量の削減量は15万バレルで、同期間のOPEC全体の減少分156万バレルの9.6%に相当します。

同期間のサウジ1国の削減量は60万バレル(156万バレルの38.4%)だったため、10カ国の減少量はサウジ1カ国の4分の1だったことになります。

15万バレルは、減産参加国全体の減少分75万バレルの20.2%です。

減産参加国は、“サウジ一国頼み”の状態にあると言えます。

10カ国個別の生産動向は次回以降書きます。中には増産をしている国もあるとみられます。

引き続き、OPECの原油生産量については、全体、減産参加国(サウジとそれ以外)、そして減産免除国(イラン・ナイジェリア、そしてリビア)など、分けて注目していきたいと思います。

図:サウジを除く減産参加国(10カ国)の原油生産量
単位:百万バレル/日量
サウジを除く減産参加国(10カ国)の原油生産量

出所:海外主要メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。