アフガン民主政権崩壊の影響は?

著者:菊川 弘之
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 アフガンの米軍撤退で、「イランvsサウジ」、「イランvsイスラエル・米国」の対立構図も緊張が高まる可能性がありそうだ。昨年から、イスラエルとイラン両国が関係するとみられる船舶に対する攻撃が相次いでおり、7月末のイスラエル船籍への攻撃に関しては、船員が死亡した上、イスラエル側が報復を示唆している。

 一部で早期にまとまるのではないかと期待されていた米・イランの核開発合意復帰の協議も後退している。イランでは、強硬派のライシ大統領が就任したが、核開発の権限は最高指導者が決める。今年、中国との原油長期契約も結んでおり、イランのハーメネイ最高指導者は、核開発合意復帰を急がず、核開発を着々と進める方針としたかもしれない。

 4月にイランは中部ナタンズの主要な核施設に対するイスラエルの「サイバー攻撃」への対抗措置として、ウランの濃縮度を現在の20%から60%まで引き上げると表明。濃縮度引き上げを国際原子力機関(IAEA)に通知している。ナタンズの核施設に1000基の遠心分離機を増設するとし、60%の濃縮ウランは医療用に利用されると説明。これで、イランのウラン備蓄を核兵器に転用可能な90%まで速やかに濃縮することが可能になっている。

 イランが核兵器を持てば、サウジも対抗措置として核兵器を持つことは確実視されており、中東の核拡散は大きな波乱要因である。


 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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