[Vol.1058] 金(ゴールド)を手元に置く理由[2]

著者:吉田 哲
ブックマーク

原油反発。米主要株価指数の反発などで。66.61ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,789.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年01月限は14,980元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年10月限は422.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで787.7ドル(前日比6.3ドル縮小)、円建てで2,750円(前日比0円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月18日 17時31分頃 先限)
6,303円/g 白金 3,553円/g
ゴム 229.4円/kg とうもろこし 34,800円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金(ゴールド)を手元に置く理由[2]」

前回は「金(ゴールド)を手元に置く理由[1]」として、筆者が考える、金地金(ゴールドバー)を手元に置く理由の一つについて述べました。

今回は「金(ゴールド)を手元に置く理由[2]」として、素晴らしいセカンドライフにおける、「精神的安定」の優先度について、考えます。

昨今、各種報道、インターネット等で、盛んに、現役世代で運用しておくことの重要性が述べられています。その理由のほとんどは、現役世代を終えた後に迎えるセカンドライフを充実したものにするため、です。

「充実したセカンドライフ」「豊かな老後」など、表現の仕方はさまざまですが、第二の人生を不安なく、豊かなものにするためにはお金が必要で、そのお金を現役世代の時に運用をして、年金で足りない部分を作っておきましょう、という話です。

将来のために運用をすることで税が優遇される仕組み(iDeCo)が、こうした流れを制度的な面から後押しをしています。

このような流れについて、筆者が日々感じていることは、「その運用は、誰のためか?」ということです。この問いへの答えを、昨今、各種報道、インターネット等で、盛んに語られていることに求めれば、ほとんどが、「自分のため」となるでしょう。果たして、運用は自分だけのためなのでしょうか。

運用することの最も根本的な意義は、自分の将来を充実させることでしょう。ただし、家族にその運用益を「受け継ぐ」、社会に「還元する」など、家族や社会もまた、運用の動機になり得ます。

筆者は今後、自分以外を運用の動機とする議論が、盛んになっていくと考えています。特に「家族」については、超高齢化社会にある日本において、贈与の一般化(小口化・低年齢化)が進み、より強く意識されるようになっていくと、感じています。

このように考えた上で、改めて「充実したセカンドライフ」「豊かな老後」を定義すると、以下のようになると筆者は考えます。

モノ、お金、機会が満ち足りた「物理的な充足」といった従来の要素に加え、子や孫が安心できる生活を支えていることを実感できる「精神的な安定」もまた、豊かな老後を支える重要な要素と言えると思います。そしてこの「精神的な安定」を支えるのが「家族のための運用」なのです。

次回以降、「家族のための運用」がなぜ重要か、日本が置かれている状況をもとに、数回に分けて説明します。

図:豊かな老後を支える2つの柱


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。