[Vol.1073] 脱炭素のムード加速させる太陽電池の量産開始

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。68.70ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの低下などで。1,800.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年01月限は13,315元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年11月限は448.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで804.6ドル(前日比2ドル拡大)、円建てで2,832円(前日比17円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月8日 18時14分頃 先限)
6,369円/g 白金 3,537円/g
ゴム 201.5円/kg とうもろこし 33,970円/t

●NY銀先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「脱炭素のムード加速させる太陽電池の量産開始」

前回は、「積立は2つの条件がそろった時、利益が大きくなる」として、前回までの5回で述べたことを踏まえ、積立投資の収益が最大化するために必要な条件について、書きました。

今回は、「脱炭素のムード加速させる太陽電池の量産開始」として、銀(シルバー)市場の動向を考える上で重要な太陽電池の概要を書きます。また、今後数回にわたり、銀と太陽電池、そして太陽電池に関連する中国株について書きます。

9月2日、コストを半減させた太陽電池の量産が始まると、主要メディアが報じました。「ペロブスカイト型」と呼ばれるもので、従来のシリコン型や化合物型に比べて、価格の面で優位とされています。この量産が建物の外壁向けで始まるのは、「ペロブスカイト型」が、容易に折り曲げられるためです。

今のところ、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率や、耐久性はシリコン型に劣るものの、特にコスト面が普及への大きなハードルの一つとなっていた太陽電池の建物への設置における分野においては、ペロブスカイト型の量産開始は朗報と言えるでしょう。

地球的規模の不可逆的テーマとなった「脱炭素」が、より大きく、前進する可能性が高まりました。

太陽電池は、蓄電池と異なり、電力を保存することができません。光のエネルギーを電力に変換する装置です。以下の図内の電極には、銀などの電気を通しやすい金属が使われています。以下はシリコン系の例ですが、「ペロブスカイト型」の電極も同様です。

太陽光が太陽電池にあたると、電子(-)と正孔(+)が発生し、それぞれが反対の方向に移動します(正孔(+)はp型シリコン側へ、電子(-)はn型シリコンへ)。この移動の際、電極に電力を消費する負荷をつなぐと電流が発生します。

また、太陽電池について理解を深める上で、「セル」「モジュール」「アレイ」について把握するとよいでしょう。「モジュール」は「セル」を組み合わせた、流通段階の最小単位です。設置する現場では、「モジュール」を組み合わせて「アレイ」にします。

次回以降、太陽電池セルの素材である金属シリコンの生産国について、書きます。

図:太陽電池セル(シリコン系)の断面図(イメージ)


出所:各種情報をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。