[Vol.1074] 太陽電池のセル生産、70%超は中国

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。69.05ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,793.05ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年01月限は13,320元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年11月限は451.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで820.25ドル(前日比2.85ドル拡大)、円建てで2,884円(前日比2円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月9日 16時52分頃 先限)
6,328円/g 白金 3,444円/g ゴム(まだ出来ず) とうもろこし(まだ出来ず)

●NY銀先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「太陽電池のセル生産、70%超は中国」

前回は、「脱炭素のムード加速させる太陽電池の量産開始」として、銀(シルバー)市場の動向を考える上で重要な太陽電池の概要を書きました。(数回にわたり、銀と太陽電池、そして太陽電池に関連する中国株について書きます)

今回は、「太陽電池のセル生産、70%超は中国」として、銀(シルバー)市場の動向を考える上で重要な太陽電池セルの、生産動向について書きます。

太陽電池のセルやモジュールの生産は、中国が圧倒的なシェアを占めています。前回のとおり、モジュールとは、太陽電池の最小単位のセルを組み合わせた1枚のパネルのことで、流通の基本単位です。

太陽電池セルの素材が、多結晶シリコンである点は半導体と同じです。珪石(SiO2)を還元・精製して金属シリコンを作り、それを還元して多結晶シリコンを作ります。こうした工程には大量の電力が必要であるため、シリコンの生産は比較的電力が安価な地域で行われる傾向があります。

シリコンの生産は中国が群を抜いています(世界全体のシェア67.8% 2019年)。このため、太陽電池の生産に必要な多結晶シリコンの生産は、中国がダントツです(68%)。また、それをもとにして作る太陽電池用の単・多結晶シリコンウェハの生産シェアも同様です(96%)。

太陽電池のセルとモジュールの生産シェアについては、下図のとおり、太陽電池のセルの76%、モジュールの71%を中国が製造しています(2019年)。環境先進地域という印象が強い欧州は、それぞれ0.2%、2%、環境問題への取り組みで主導権を握りたい日本は1%、1%です(いずれも発電量ベース)。

中国は太陽電池大国と言ってもよいでしょう。そして、中国を太陽電池大国たらしめているのが、同国の太陽電池関連企業です。次回以降、中国の太陽電池関連企業の株価について、書きます。

図:太陽電池のセルとモジュールの生産シェア(2019年)


出所:IEAのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。