[Vol.1097] 1970年代と2020年代の違いを確認

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。81.42ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,797.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年01月限は14,515元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年12月限は529.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで761.5ドル(前日比9ドル縮小)、円建てで2,786円(前日比41円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月14日 18時52分頃 6番限)
6,542円/g 白金 3,756円/g
ゴム 225.0円/kg とうもろこし 37,290円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「1970年代と2020年代の違いを確認」

前回は、「スタグフレーションの議論は時期尚早」として、現在さまざまなメディアで報じられている、スタグフレーションについて、筆者の意見を述べました。

今回は、「1970年代と2020年代の違いを確認」として、およそ半世紀前(50年前)と現在の社会の違いについて、筆者の意見を述べます。

昨今の「スタグフレーション」の議論に登場するのが、1970年代に2度発生した「オイルショック」です。産油国が価格をつり上げ、その影響で日本を含んだ世界全体が、景気停滞のムードに包まれました。まさに、景気停滞と物価上昇だったわけです。

とはいえ、前回の通り、株価指数的には急落や低迷は避けられていると言える以上、スタグフレーションかどうかという議論を、ここですぐに決着させることはできないでしょう。肌感覚の景気低迷は事実かもしれませんが、株価指数的にはそうではない、心情的にはスタグフレーションだが、数値的にはそうではない、ということです。

これは、過去の常識や経験則を、今にあてはめることが難しい例の一つです。なぜ、過去の常識を今にあてはめることができない場合があるのでしょうか。その答えを考えるために、1970年代と2020年代の違いについて考えてみます。

先人たちのさまざまな努力により技術革新が飛躍的に進み、私たちの生活にはたくさんの選択肢ができました。たくさんのモノやコトを選ぶことができるようになったことは、ある意味、私たちに「広さ」をもたらしたわけですが、実際のところ、「狭さ」も感じます。

日本では、人口減少と超高齢化の同時進行、それによる若い世代の将来への不安(年金だけでなく日本で生活すること自体への不安)の拡大、各種格差の拡大、周囲から受ける同調圧力の拡大など、生きにくくなっていることは事実でしょう。こうした生きにくさが、便利で豊かで「広い」はずの生活環境を、「狭く」していると、考えられます。

時代は変わり、今もなお、変化の最中にあります。過去の常識や経験則を、物事を考えるモノサシにしたとしても、目の前で起きていることを正しくはかる(図る、測る、計る、量る)ことができなくなっていると考えるのが、妥当でしょう。

1970年代と似ているとはいえ、「物価上昇」と「肌感覚的で心情的な景気停滞&株価急落なし」で、現在をスタグフレーションだとすることは、できないと考えます。「似ている」ことが、状況判断を曇らせていると、言えます。過去の常識にしばられず、今に焦点を当てることは、非常に、大変、重要です。

また、下図より、このおよそ50年間で起きたことを、「高度化」と「多様化」が「複雑化」をもたらしたこと、とまとめることができます。

度合い(程度・頻度・大きさ)が大きくなった要素と、インターネットとスマホのように新しく生まれた要素があります。度合いが大きくなった要素は、存在することには変わりはありませんが、社会に与える影響が、より大きく・強く・広くなったわけです。

「高度化」と「多様化」が「複雑化」をもたらし、社会は大きく変化しました。それに伴い、社会の一要素である「市場」を取り巻く環境も、大きく変化したわけです。こうした中、市場と対峙(たいじ)する上で、必要なことはやはり、過去の常識を、そのまま今の相場に当てはめないことでしょう。

図:1970年代と2020年代の違い(一例) (相対評価)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。