原油反発。米主要株価指数の反発などで。82.44ドル/バレル近辺で推移。
金反落。ドル指数の反発などで。1,764.85ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年01月限は14,690元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年12月限は543.0元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで718.2ドル(前日比8.8ドル拡大)、円建てで2,642円(前日比2円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(10月18日 18時10分頃 6番限)
金 6,477円/g 白金 3,835円/g
ゴム 224.5円/kg とうもろこし 38,160円/t
●NY原油先物(期近) 日足 単位:ドル/バレル
出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より
●本日のグラフ「『第三次オイルショック』は絵空事ではない」
前回は、「予想されるOPECプラスの今後の戦略」として、1970年代から2020年代にかけて起きた大きな社会や市場環境の変化を経て、OPECプラスが今後、どんなことを考えることが想定されるのか、筆者の意見を述べました。
今回は、「『第三次オイルショック』は絵空事ではない」として、足元のOPECプラスの動向を鑑み、第三次オイルショックが発生する可能性があるかどうかについて、考えます。
足元、原油価格が大きく反発しているものの、米国のシェール主要地区の開発関連指標の回復は鈍いままです。米国国内の「脱炭素」をきっかけとした、石油産業への投資鈍化が背景にあるとみられます。
その結果、米国の原油生産量は、足元も世界No.1であるものの、サウジやロシアに肉薄することを許しています。原油価格が上昇すれば米国の原油生産量が増加する、という点もまた、過去の常識になりつつあると、言えます(米シェール主要地区の原油生産量は米国全体のおよそ7割)。
そのサウジとロシアを擁するOPECプラスの原油生産量は、増加傾向にあります。増産をしているのですが、「過剰な増産」はしていません。この点がポイントなのです。ニュースの見出しだけでは、OPECプラスが一体何をしているのか、わかりにくいことがありますが、グラフにすると以下のようになります。
もともとOPECプラスは、景気回復に伴い世界の石油消費量が増加することを織り込んで、少しずつ生産量を増やしていくことを計画していました。目下、ほぼ、その増産プラン通り、生産量の上限を引き上げながら、生産量を増やしてきています。
この生産量の増加は「増産」に他ならないわけですが、そこに、とある基準を設けることで、「過剰な増産をしていない」という体裁を繕うことができます。それが、自分たちで計画した増産プランなのです。プランの範囲内で生産を行っている(減産を順守している)、という点をアピールすることで、市場に安心感を与え、価格上昇を実現しているのです。
また、月に一度程度行われるOPECプラスの会合の前に、消費が増加する見通しがあるため、OPECプラスは会合で増産幅を拡大させるのではないか、という観測がしばしば浮上することがあります。
しかしそれに対し、OPECプラスは、あくまで、予定通りの量の増産をすることを決定して(周囲の思惑をはねのけるようにして)、市場への影響力を維持したりしています。こうした行為から、OPECプラスの「価格決定権を誰にも渡さない」姿勢がうかがえます。
OPECプラスの「わが道をゆく」「価格決定権を誰にも渡さない」姿勢は、オイルショックを想起させます。
OPECプラスは、「脱炭素」が進む米国で石油開発が鈍化傾向にあり、原油生産量の回復が当面見込めそうにないことを好機ととらえ、生産シェア奪還のためにここぞとばかりに増産にはげみ、さらに、自らが決めたプランを守っていると市場にアピールし、原油価格上昇の恩恵を享受しているわけです。
OPECプラスが原油相場を牛耳る世界が、確立されつつあると言えるでしょう。そうなればどうなるのか、「脱炭素」社会でも原油相場上昇、というシナリオを描くことができるでしょう。
2014年から2015年に発生した「逆オイルショック」(原油価格が急落し、株式市場などが混乱した出来事)の際、中東の産油国たちは、保有していた先進国の株式の一部を売却し、現金化したそうです。
原油価格の急落は株価下落の一因になる点を嫌気し、株式市場からも、たとえ「脱炭素」が浸透しても、原油相場を、産油国の経済が一定水準を維持できる程度に、保つ必要がある、という認識があるのかもしれません。先進国の市場関係者がそうした認識を持っていることを、OPECプラスらは知っている可能性もあります。
OPECプラスの「わが道をゆく」「価格決定権を誰にも渡さない」姿勢が強まれば、『第三次オイルショック』が発生する可能性は、全くゼロとは言えないでしょう。こうした姿勢が強まれば、次の節目90ドル、100ドルと、原油相場は徐々に、産油国にとって心地よい価格帯に近づいていく可能性がでてくると、筆者は考えています。
図:OPECプラス内 減産参加国の原油生産量 単位:百万バレル/日量
出所:各種資料とブルームバーグのデータより筆者作成
金反落。ドル指数の反発などで。1,764.85ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年01月限は14,690元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年12月限は543.0元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで718.2ドル(前日比8.8ドル拡大)、円建てで2,642円(前日比2円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(10月18日 18時10分頃 6番限)
金 6,477円/g 白金 3,835円/g
ゴム 224.5円/kg とうもろこし 38,160円/t
●NY原油先物(期近) 日足 単位:ドル/バレル
出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より
●本日のグラフ「『第三次オイルショック』は絵空事ではない」
前回は、「予想されるOPECプラスの今後の戦略」として、1970年代から2020年代にかけて起きた大きな社会や市場環境の変化を経て、OPECプラスが今後、どんなことを考えることが想定されるのか、筆者の意見を述べました。
今回は、「『第三次オイルショック』は絵空事ではない」として、足元のOPECプラスの動向を鑑み、第三次オイルショックが発生する可能性があるかどうかについて、考えます。
足元、原油価格が大きく反発しているものの、米国のシェール主要地区の開発関連指標の回復は鈍いままです。米国国内の「脱炭素」をきっかけとした、石油産業への投資鈍化が背景にあるとみられます。
その結果、米国の原油生産量は、足元も世界No.1であるものの、サウジやロシアに肉薄することを許しています。原油価格が上昇すれば米国の原油生産量が増加する、という点もまた、過去の常識になりつつあると、言えます(米シェール主要地区の原油生産量は米国全体のおよそ7割)。
そのサウジとロシアを擁するOPECプラスの原油生産量は、増加傾向にあります。増産をしているのですが、「過剰な増産」はしていません。この点がポイントなのです。ニュースの見出しだけでは、OPECプラスが一体何をしているのか、わかりにくいことがありますが、グラフにすると以下のようになります。
もともとOPECプラスは、景気回復に伴い世界の石油消費量が増加することを織り込んで、少しずつ生産量を増やしていくことを計画していました。目下、ほぼ、その増産プラン通り、生産量の上限を引き上げながら、生産量を増やしてきています。
この生産量の増加は「増産」に他ならないわけですが、そこに、とある基準を設けることで、「過剰な増産をしていない」という体裁を繕うことができます。それが、自分たちで計画した増産プランなのです。プランの範囲内で生産を行っている(減産を順守している)、という点をアピールすることで、市場に安心感を与え、価格上昇を実現しているのです。
また、月に一度程度行われるOPECプラスの会合の前に、消費が増加する見通しがあるため、OPECプラスは会合で増産幅を拡大させるのではないか、という観測がしばしば浮上することがあります。
しかしそれに対し、OPECプラスは、あくまで、予定通りの量の増産をすることを決定して(周囲の思惑をはねのけるようにして)、市場への影響力を維持したりしています。こうした行為から、OPECプラスの「価格決定権を誰にも渡さない」姿勢がうかがえます。
OPECプラスの「わが道をゆく」「価格決定権を誰にも渡さない」姿勢は、オイルショックを想起させます。
OPECプラスは、「脱炭素」が進む米国で石油開発が鈍化傾向にあり、原油生産量の回復が当面見込めそうにないことを好機ととらえ、生産シェア奪還のためにここぞとばかりに増産にはげみ、さらに、自らが決めたプランを守っていると市場にアピールし、原油価格上昇の恩恵を享受しているわけです。
OPECプラスが原油相場を牛耳る世界が、確立されつつあると言えるでしょう。そうなればどうなるのか、「脱炭素」社会でも原油相場上昇、というシナリオを描くことができるでしょう。
2014年から2015年に発生した「逆オイルショック」(原油価格が急落し、株式市場などが混乱した出来事)の際、中東の産油国たちは、保有していた先進国の株式の一部を売却し、現金化したそうです。
原油価格の急落は株価下落の一因になる点を嫌気し、株式市場からも、たとえ「脱炭素」が浸透しても、原油相場を、産油国の経済が一定水準を維持できる程度に、保つ必要がある、という認識があるのかもしれません。先進国の市場関係者がそうした認識を持っていることを、OPECプラスらは知っている可能性もあります。
OPECプラスの「わが道をゆく」「価格決定権を誰にも渡さない」姿勢が強まれば、『第三次オイルショック』が発生する可能性は、全くゼロとは言えないでしょう。こうした姿勢が強まれば、次の節目90ドル、100ドルと、原油相場は徐々に、産油国にとって心地よい価格帯に近づいていく可能性がでてくると、筆者は考えています。
図:OPECプラス内 減産参加国の原油生産量 単位:百万バレル/日量
出所:各種資料とブルームバーグのデータより筆者作成