[Vol.1109] 銅 年内11,000ドル目標

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。83.14ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反発などで。1,784.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年01月限は14,730元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年12月限は520.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで755.2ドル(前日比8.15ドル縮小)、円建てで2,776円(前日比83円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月1日 16時24分頃 6番限)
6,543円/g 白金 3,767円/g
ゴム 230.4円/kg とうもろこし 39,980円/t

●NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「銅 年内11,000ドル目標」

前回は、「金(ゴールド)、年内1,900ドル目標」として、2021年夏に「脱炭素」の意味が変化したことを受けて、金(ゴールド)相場がどのように動く可能性があるのかについて、筆者の考えを書きました。

今回は、「銅 年内11,000ドル目標」として、前回の金と同様、2021年夏に「脱炭素」の意味が変化したことを考慮した上で、筆者が考える年内の銅相場のイメージを書きます。

・銅

筆者 年内予想レンジ(11月1日時点)
現  在:9,700ドル近辺
高値目安:11,000ドル近辺(史上最高値)
安値目安:9,000ドル近辺(10月上旬)
予想傾向:上昇
リスク要因:中国のさらなる景気減速

足元、「脱炭素」は「電化」に関わる金属の需要増加要因でもあります。目下、電気を通しやすい銅、電池の原材料として用いられるニッケルやコバルト、電子製品を作る際に多用されるアルミニウムなどの在庫が減少傾向にあると報じられています。

先週、LME(ロンドン金属取引所)の銅価格が、4カ月ぶりに1万ドル/トンの大台に達しましたが、その背景は、在庫が記録的な水準まで減少したこととされています。

「電化」に関わる非鉄金属価格の上昇もまた、「インフレ」の一因であるわけですが、人類が、「脱炭素」を主に「電化」で対応しようとしていることが、さまざまな非鉄金属価格を押し上げる大きな要因になっています。

現時点で筆者は、銅相場は年内、「脱炭素」起因の金属需要増加が続き、上昇する可能性があると考えています(史上最高値を更新する可能性がある)。しかし、下落するリスクもあります。中国の景気減速懸念がさらに強まった場合です。

世界の銅需要のおよそ半分を占める中国の景気減速懸念がさらに強まった場合、銅相場に強い下落圧力がかかる可能性があります。こうした動きが目立った場合、7,000ドル近辺まで(下落が深い場合はなお)、下落する可能性があるとみています。この時、銅相場がどれだけ下落圧力に耐えられるか、注目です。

図:LME銅(3カ月先物 日足 終値) 単位:ドル/トン


出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。