[Vol.1118] バイデン氏の行動が市場の行方を左右する!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。インフレ懸念の後退観測などで。78.95ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,865.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年01月限は14,540元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年12月限は508.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで782.4ドル(前日比3.1ドル拡大)、円建てで2,879円(前日比1円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月15日 19時26分頃 6番限)
6,803円/g 白金 3,924円/g
ゴム 227.1円/kg とうもろこし 37,720円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「バイデン氏の行動が市場の行方を左右する!?」

前回は、「石油産業に影響を与える「メタン」削減」として、「燃料の漏出」起因のメタンの地域別排出量について、書きました。

今回は、「バイデン氏の行動が市場の行方を左右する!?」として、先々週、行われたイベントと、米国あるいはバイデン氏の関係について、筆者の考えを書きます。

[Vol.1113] で述べたとおり、先々週開催された4つの会合は、「原油」「脱炭素」「米金融政策」の3つのテーマで結ばれており、これらのテーマは「産油国と消費国の間の溝が深まった」「脱炭素を巡る主導権争いがさらに激化した」「メタン削減が及ぼす負の影響を認識しなければならなくなった」「ドルキャリー取引の逆流が発生する懸念が強まった」など、さまざまな懸念を残したと、書きました。

こうした懸念の源泉は、何なのか?と問うと、ふと、米国(バイデン大統領)というキーワードが浮上します。以下の図は、4つの会合で重要なテーマとなった「原油」「脱炭素」「米金融政策」と、米国(バイデン大統領)との関係を示したものです。

「OPEC+に追加増産をさせられない」「OPEC+から、逆に増産を提案される」「メタン削減を提唱した」「中印などに、温室効果ガス排出削減を要求した」「テーパリングを開始した」など、各所で不安・懸念を生じさせるきっかけとなったのは、米国でありバイデン大統領である可能性が高いと、筆者は考えます。

世界が良い方向に向かうことを前提に、彼らは尽力していると信じています。今はまだ、彼らの尽力が実を結ぶまでの、過渡期であるため、不安や懸念が生じるのは、無理もありません。ただ、会合が続いたからとはいえ、やや行動が性急だった感も否めません。

バージニア州知事選での民主党議員が敗北する前から、具体的には、米軍のアフガニスタン撤退を実行した夏以降、バイデン氏の支持率低下・不支持率上昇が目立ち始めています。来年の中間選挙のためにも、何とか立て直しを図らなければなりません。

そのためには、強いリーダーシップを発揮することが必要で、先々週の1週間は、バイデン氏にとって強いリーダーシップを発揮するチャンスだったわけですが、翌週の週明け以降も、OPECプラスの思惑通り、原油相場が高止まりしている点や、不安拡大を受けて金(ゴールド)相場が上昇している点を考えれば、OPECプラスとの交渉がうまく進められなかった、さまざまな不安が拡大した(拡大させた)週だったと言えそうです。

今のところ、先々週のように、性急に不支持率を低下させるための行動をすると、市場は逆の反応を示す傾向があります。こうした行動は、翌週明けの各種市場が示すとおり、原油高・食品高・金(ゴールド)高につながります。(「メタン削減」発言前後、米国の生牛先物価格が大きく上昇している)

今後も、バイデン氏の行動と、コモディティ市場全体の推移に、要注目です。

図:足元の不安要素の起源


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。