[Vol.1152] 金(ゴールド)の教科書も改訂が必要

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。80.02ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの低下などで。1,790.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は14,875元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年02月限は517.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで827.55ドル(前日比3.9ドル拡大)、円建てで3,065円(前日比29円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月7日 大引け 6番限)
6,655円/g 白金 3,590円/g
ゴム 241.4円/kg とうもろこし 40,250円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金(ゴールド)の教科書も改訂が必要」

前回は、「上昇圧力と下落圧力を足し引きしなければならない」として、足元の金(ゴールド)市場にある、上昇要因と下落要因を俯瞰しました。

今回は、「金(ゴールド)の教科書も改訂が必要」として、学習指導要領の改訂について書きます。社会の常識の変化に伴い、市場関係者の常識も変化しなければならない点について、触れるためです。

平成30年に告示された学習指導要領には、2022年度(来年度)より、高校生の家庭科の授業で「投資信託」などの投資に関わる内容を扱うと、書かれています。若い人たちの投資リテラシーを向上させ、より一層、日本の投資家のレベルを引き上げることに貢献し得る、重要な策だと言えます。

文部科学省の資料には、持続可能な社会の構築に向けて、消費生活と環境を一層関連付けた消費者教育を推進し、生涯を見通した生活における経済の管理や計画、リスク管理の考え方を身に着けることが、目的の一つである旨が書かれています。時代が求める教育内容は、(男性像の件と同様)時代の変化とともに、変わります。

時代の変化に伴って、教育内容がアップデートされるように、金(ゴールド)相場の動向を説明するための事柄もアップデートされなければならないと、筆者は考えています。先述のとおり、昨今の金価格の推移は、ドルとの関係だけ、株との関係だけで、説明することができなくなっているためです。

[Vol.1150] ドル高・株高・金高で、「3高(サンダカ)」で述べたとおり、「3高(サンダカ)」は、実際に起きています。常にとはいかないまでも、今年を含めた今後も、起きる可能性があります。古い教科書にしばられたままでは、金(ゴールド)相場の動向を見誤ります。

今年、「3高」は、金市場に関わる全ての人々の認識を正しい方向に導く、重要なキーワードになると、筆者は考えています。

図:学習指導要領の改訂(一例)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。