実はさほど減少していない?サウジの原油生産量

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。米原油在庫が予想を超える減少となったことなどで。56.36ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,512.05ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,360元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。19年10月限は426.2元/トン付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで665.35ドル(前日比1.35ドル拡大)、円建てで2,225円(前日比47円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(8月21日 14時14分頃 先限)
 5,132円/g 白金 2,907円/g 原油 36,950円/kl
ゴム 168円/kg とうもろこし 22,550円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「実はさほど減少していない?サウジの原油生産量」

前回は「そろわないOPECの足並み 減産の問題点」として、OPECの原油生産量について、ルールが変わってスタートした現行の減産の初月となった2019年1月分と、OPECが先週公表した7月分を、サウジ、サウジ以外の減産実施国(10カ国)、そして減産免除国(3カ国)、の3つにカテゴリー分けをして比較しました。

今回は「本当はさほど減少していない?サウジの原油生産量の動向」として、上記のカテゴリーの一つである“サウジ”について書きます。

サウジの原油生産量は以下のグラフのとおりです。(OPEC月報参照)2019年7月は日量969万8000バレルとなりました。

新ルールがはじまった今年1月に比べれば、約48万バレル(4.7%)減少となり、直近のピークとなった2018年11月(日量約1102万バレル)に比べれば、日量132万バレル(12%)以上減少しています。

昨年後半以降の減少幅は、サウジが減産に非常に前向きであることを感じさせます。

サウジ以外の減産実施国10カ国が減産に消極的な姿勢を見せているため、リーダーであるサウジが減産を加速させなければなりません。

サウジが減産をリードできなければ、減産体制が不安定化し、原油市場に不安感が生じ、価格下落が起きかねません。

ただ、視点を変え、協調減産開始直後である2017年1月の日量約980万バレルと比較した場合、話の雰囲気は変わってきます。

2017年1月と2019年7月を比べれば、日量11万バレル、およそ1%の減少に留まります。

このように見れば、サウジの原油生産量は、最近は減少傾向ではあるものの、絶対水準はそれほど低くないと言えそうです。

やはり、2018年後半に行われた駆け込み増産が事態を分かりにくくしているとみられます。

“駆け込み増産分を減産しただけ”、ともいえるサウジの原油生産の状況を、今後も注視していきたいと思います。

図:サウジの原油生産量 単位:千バレル/日量


出所:OPECのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。