2022年展望(金・原油)

著者:菊川 弘之
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 バイロン・ウィーンの「びっくり予想」で商品市場に関しては、金も原油も強気な見方となっている。両銘柄予想に関しては、びっくりではなく、かなりの確率で示現するのではないか?

 米金融政策の正常化前倒し観測に伴う米金利上昇・ドル高が上値抑制要因となっている金相場だが、足元では強気の米マクロ経済指標が出ても、下方圧力は限定的で、押し目買い意欲の強さが感じられる。1月6日にFOMC議事録で米早期利上げ観測が高まったことを受けて米長期金利が上昇し、NY金は200日移動平均線を割り込んだが、押し目はすかさず買い直され、1月11日には長大陽線引けで200日移動平均線を回復している。2021年8月安値を起点とした上昇チャネルは継続しており、価格帯別出来高の厚い1800ドル水準の下値支持感が高まっている。

 過去の米利上げ局面と金価格の推移を振り返って見ると、利上げまでは金の上値が抑えられやすいものの、実際の利上げがFOMCで決定すると、「知ったら終い」で金は底打ち反転となっている。

 FF先物市場では、既に年内3回超の利上げを織り込んでおり、利上げを嫌気した金の下値も、かなりの部分、織り込まれていると考えた方が良いだろう。

 NY原油(2月限)市場も昨年12月に、新型コロナウイルスの変異種「オミクロン株」の発生・感染拡大を嫌気して62ドル台まで調整を入れたものの、1月12日には83ドル台と、昨年10月高値を上抜いてきた。

 「びっくり予想」の7番目で「原油の供給は十分拡大できず、WTIは100ドル超に」と予想されたが、「オミクロン株」が流行しているものの、行動規制導入による経済への悪影響は限られるとの見方が強く、石油需要の回復が続くと期待されていることが相場を押し上げている。


 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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