週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比0.33ドル高の55.58ドル、ブレント原油は1.27ドル高の60.25ドルとなった。

 前週末の海外原油は前日までの急落の流れから自律反発すると、堅調な株式相場も支えとなり反発した。ただし、OPEC月報において2019年の需要見通しが下方修正されたことや、リグ稼働数の増加が嫌気されると値を削る展開となった。

 先週は中東の地政学リスクの高まりや堅調な株式市場に支えられ堅調な推移となった。週明けはサウジアラビアの油田がイエメンの武装組織フーシ派に攻撃されたとの報で地政学リスクが意識され上昇した。また、中国やドイツが景気下支え策を表明したことも好感された。翌20日は株式相場が4営業日ぶりに反落したことで上値重い推移となったものの、原油在庫の減少予想もあり安値からは切り返すとほぼ変わらずくらいの水準で引けた。この日の朝方発表のあったAPI統計では原油在庫の予想以上の減少が示されると、週中にかけて取引序盤は堅調な推移となった。ただし、EIA統計で原油在庫はAPIと同様に予想以上の減少幅となったが織り込み済みで、製品在庫の予想以上の増加が示されると統計発表後に売りが強まり、マイナスサイドまで値を沈める展開となった。週末にかけては2人の米地区連銀総裁が追加利下げは不要と唱えたことで値を崩すと、前日の安値を下回ったテクニカル的な売りも入り軟調な推移となった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。