円建て金に妙味あり

著者:菊川 弘之
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 ブレイナードFRB理事は4月5日の講演で、米経済の力強さとインフレ圧力の高さを強調。5月にも始める国債などの保有資産の縮小について「前回と比べて著しく速くなりそうだ」と述べた。ハト派として知られるブレイナード理事が、金融引き締めへの積極姿勢を示したことで、米長期金利が3年ぶりの水準に上昇した。

 翌6日には米連邦準備理事会(FRB)が、3月15~16日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開した。量的引き締め(QT)と呼ばれる資産圧縮について、すべての参加者が「早ければ5月の次回会合でプロセスを開始するのが適切だろう」と指摘した。月に950億ドル(約11.7兆円)を上限として縮小することでおおむね合意した。参加者の全員が急速なインフレと労働市場の需給逼迫を考慮し、前回に資産を圧縮した2017~19年よりも早いペースで量的引き締めを実施すべきだとした。今回はほぼ倍のペースとなる。更に、多くの参加者が今後の会合で通常の倍となる0.5%の利上げを1回か、それ以上実施する可能性に言及した。

 米金融界のオピニオンリーダーでもあるJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は2022年4月4日の株主への年次書簡で、「米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げについては、最終的に市場予想を上回る可能性がある、量的引き締め(QT)も強まる」と発言した。ダイモン氏は米金融政策について、「次に取るべき行動を考えればFRBは気の毒だ。景気回復が強ければ、その分金利も上昇する」と指摘。「市場は非常に不安定になる」と予想した。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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