[Vol.1222] ドル建て金(ゴールド)の7つのテーマを確認

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。103.11ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,953.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は13,355元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年06月限は678.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで969.35ドル(前日比1.45ドル拡大)、円建てで4,027円(前日比1円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月21日 12時28分頃 6番限)
8,047円/g
白金 4,020円/g
ゴム 261.6円/kg
とうもろこし 58,410円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 7日午前8時59分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「ドル建て金(ゴールド)の7つのテーマを確認」

前回は、「金(ゴールド)の理論値と実態」として、「急激な円安」が与える影響や、金(ゴールド)の理論値と実態などについて書きました。

今回は、「ドル建て金(ゴールド)の7つのテーマを確認」として、金を取り巻く環境について、筆者の考えを書きます。

前回までの3回でわかったことは、国際商品の値動きにおいて、ドル建てが「主」で、円建てを含む「異通貨同一商品」は「従」であること、為替相場の急変が主従関係を軸とする値動きに「強弱」を加える場合があることです。

つまり、「円建て」のコモディティ(金(ゴールド)に限らず)価格の推移を見守る際は、必ずと言ってよい程、「ドル/円」の変動も確認しなければならないわけです。

以下は、筆者が考える、金(ゴールド)の値動きに関わる7つのテーマです。これらのテーマは「主」であるドル建て金の値動きに直接的に関わります。このため、「従」である円建て金については、これらに「ドル/円の変動」を追加します。

7つ(円建ての場合は8つ)のテーマは抽象度が高いため、少し具体例を述べます。あくまでも一例ですが、報道などで類似の具体的な材料を見た際は、同じテーマに分類できる可能性があります。

材料を分類できると、その材料が及ぼす「時間」の目安が見えてきます。目先の価格変動を誘発する材料なのか、今は影響がなくても長期視点で影響を及ぼし得る材料なのか、という目安です。

しばしば気になるのが、「中央銀行の金(ゴールド)保有高が増加した」という材料です。これは短中期的な材料でしょうか、中長期的な材料でしょうか。中長期であると、筆者は考えます。

おおむね四半期に1度の頻度で公表される統計に含まれる当該情報が、短期的な価格の変動要因になったのを、あまり見たことがありません。(ゼロではないかもしれないが、少なくとも頻繁ではない)

統計の配信頻度が高くない(時間軸が長い)こと、そして、そもそも中央銀行自体、短期で大量に売り買いを繰り返す取引参加者ではないことを考えれば、この手の材料は「中長期」に分類されるでしょう。

このように「大きな資金を動かす誰かが買った→すぐさま価格急騰」という、単純な図式にならないケースがあることに留意が必要であり、こうした事象を理解することを助けるのが、7つのテーマの分類なのです。

図:金(ゴールド)の材料における「抽象」と「具体」


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。