[Vol.1223] 金投資の際は金融商品ごとの特徴に要注意

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。102.77ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,954.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は13,035元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年06月限は670.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで986.1ドル(前日比5.55ドル拡大)、円建てで4,085円(前日比52円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月22日 13時51分頃 6番限)
8,026円/g
白金 3,941円/g
ゴム 255.2円/kg
とうもろこし 57,200円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 7日午前8時59分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金投資の際は金融商品ごとの特徴に要注意」

前回は、「ドル建て金(ゴールド)の7つのテーマを確認」として、金を取り巻く環境について、筆者の考えを書きました。

今回は、「金投資の際は金融商品ごとの特徴に要注意」として、さまざまな金(ゴールド)関連の投資商品における、「指標価格」との連動性に着目した、留意点について書きます。

金(ゴールド)投資を検討するにあたり、筆者が非常に重要だと考えている点が一つあります。「指標性」があるドル建てのスポット(現物)価格との連動性です。

世の中には金関連の金融商品が多数ありますが、それらの価格がいずれも、現物価格と寸分違わず推移しているわけではありません。

「寸分違わず推移しているわけではない」については、過去の4回で述べてきた「円建て」と「ドル建て」が最たる例です。

世界の指標価格(ドル建て現物価格)が仮に10%上昇したとしても、円建ての上昇率が10%になるとは限りません。ドル/円が「強弱」を加えるためです。それ以外にも、「寸分違わず推移しているわけではない」例があります。

金(ゴールド)のスポット(現物)取引、あるいは、それと直接的に連動している商品は指標そのものと言える一方、「連動を目指す」ことを旨としている投資信託やETF(上場投資信託)、「関連する」個別企業の株式は、大局的な値動きは一致したとしても、(現物に比べて)パフォーマンスに優劣がつく場合があります。

投資信託やETFは、先物市場で運用する商品の場合(先物市場で運用する金融商品に連動する設計である場合も含め)、限月を乗り換える際にコストが発生したり、乗り換えた先の限月の価格がそれまでの価格と大きく異なったりするなどの特有の事情によって、現物価格と若干異なる動きになる場合があります。(極端に異なることはないものの、「寸分違わぬ」からは離れる)

関連株についても、個別企業の事情を反映するため、現物価格と「寸分違わず」動くことは、なかなか考えにくいと言えるでしょう。

投資をしている金(ゴールド)関連の商品に、「指標価格との高い連動性」を求めるかどうかは、投資をされる方次第ですが、保有する金融商品によっては、指標価格ほどのパフォーマンスが出ていない(≒報道で述べられているほど上昇していない)、などの事象が起き得る点に、あらかじめ留意する必要があるでしょう。

図:金(ゴールド)関連の投資商品における現物価格との連動性(イメージ)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。