[Vol.1224] 市場環境は年々複雑化。流れには逆らえない

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。97.59ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,917.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は12,665元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年06月限は635.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1001.35ドル(前日比5.55ドル縮小)、円建てで4,125円(前日比3円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月25日 16時45分頃 6番限)
7,860円/g
白金 3,735円/g
ゴム 249.5円/kg
とうもろこし 55,700円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 7日午前8時59分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「市場環境は年々複雑化。流れには逆らえない」

前回は、「金投資の際は金融商品ごとの特徴に要注意」として、さまざまな金(ゴールド)関連の投資商品における、「指標価格」との連動性に着目した、留意点について書きました。

今回は、「市場環境は年々複雑化。流れには逆らえない」として、過去数十年間で生じた、コモディティ市場を取り巻く環境の変化ついて書きます。

しばしば、「常識」を連呼する人に出会います。話を聞いているうちに、聞き手である自分が常識を知らないのではないか?と不安に駆られることがありますが、「常識」の連呼は、自身の考えを正当化する手段である場合が少なくありません(むしろ多いように感じる)。

相手を操作する目的で発せられた「主観に満ちた常識」は、常識ではありません。ここでは常識を、「客観的事実が裏付ける、顕在化せずに底流する、多くの人たちが否定しない最大公約数。抽象化を経ることで迫ることができるもの」と定義します。

この点を考慮の上、以下の図をご覧ください。コモディティ市場の動向を左右してきた主な要因(抽象的キーワード)です。

緑色が1970年代から続く要因、赤色が2010年ごろから著しく目立ちはじめた要因です。事実を振り返れば、コモディティ市場の変動に影響を与え得る要因の種類が増えたことは、一目瞭然です。社会全体が変化したことが、最も大きな要因です。

社会全体が変化すれば、自ずと、その一要素である市場も変化します。「市場だけ以前のまま」というわけにはいきません。社会の変化は「常識」を変化させる強い動機になります。社会や市場の変化によって、「常識は変化する」のです。

図:コモディティ市場の状況:全体観


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。