[Vol.1229] 過去を否定し「花の山」に向かう

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。EUのロシア産原油輸入禁止に関する報道などで。109.91ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,879.22ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は12,745元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年06月限は697.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで927.27ドル(前日比24.97ドル拡大)、円建てで3,938円(前日比17円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月6日 17時21分頃 6番限)
7,848円/g
白金 3,910円/g
ゴム 252.0円/kg
とうもろこし 57,250円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 7日午前8時59分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「過去を否定し「花の山」に向かう」

前回は、「鳥になって「俯瞰(ふかん)」しよう」として、「[Vol.1226] 「現在の常識」を深く理解する方法」で述べた、「材料の俯瞰(ふかん)と影響力の足し引き」について、詳細を述べました。

今回は、「過去を否定し「花の山」に向かう」として、筆者が考える「コモディティ投資で勝つために必要なこと」について述べます。

Vol.1224~1226、1228で述べたことは、筆者が考える「コモディティ投資で勝つために必要なこと」のエッセンスでした。まとめると以下のようになります。

・市場環境は年々複雑化、よって「現在の常識」は複雑
・「材料の俯瞰と影響力の足し引き」は「現在の常識」の柱
・時間軸が異なるテーマを用いて材料を俯瞰、各種材料起因の影響力を足し引きする
・精度が高い見通し作成に上記が有用

また以下は、こうしたエッセンスをより有効に活用するための、筆者が考える、現在の市場関係者が「密になるべき」要素です。

・材料を俯瞰すること (過去の常識(近視眼的見方)の逆)
・今を凝視すること (過去の成功体験重視の逆)
・人に流されないこと (集団心理重視の逆)

相場格言に「人の行く裏に道あり花の山」があります。今なお「過去の常識」にとらわれている市場関係者が多いと感じます。いち早く「現在の常識」を取り入れ、「材料の俯瞰と影響力の足し引き」を実践できた人が「花の山」にたどり着けると、筆者は考えています。

例えば、上記の考え方をもとにした、短中期的視点の金(ゴールド)相場の見通しは、以下の図のようになります。前回の「重要な問い」の回答で述べたのと同様、目先は「有事ムード」「代替資産」起因の上昇圧力が、「代替通貨」起因の下落圧力を相殺し、価格は上昇すると考えます。

時間軸が長い「中長期」「超長期」の抽象的キーワードや、各テーマの具体例を併記しています。

図:金(ゴールド)の時間軸の異なる7つのテーマと、短中期の価格見通し


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。