需給は全ての材料に優先する(投機売りVS需給タイト)

著者:菊川 弘之
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 CFTC建玉明細(5/3現在)によると大口投機玉は、1,541枚の売り越し。2週連続の売り越しとなった。上海でのロックダウン(都市封鎖)解除にメドがたたず中国の景気不安が強いことや、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを加速させるとの警戒感からの米長期金利上昇・ドル高・株安から売り圧力が高まっていることなどが投機玉の売り越しの背景だ。

 中国のゼロコロナ政策と厳格なロックダウンは自動車生産と販売に打撃を与えており、中国の自動車業界団体、中国汽車工業協会(CAAM)は6日、4月の新車販売台数が前年同月より48%減ったとの推計を発表。新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める中国政府の「ゼロコロナ政策」による工場閉鎖や、自動車販売店のショールームへの入場制限、支出抑制が響いた。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まった2020年2月に前年同月比で79%減って以来の大きな減少率となった。

 一方、2022年第1四半期の世界のPGM生産は予想を下回る結果となった。ノリニッケルの第1四半期のパラジウム生産はマイナス8%、プラチナはマイナス12%、さらに南アフリカも大雨などの悪天候で減産となった。アングロ・プラチナムは前年同期比でマイナス27%としている

 大口投機玉の売り越しに対して、足元の白金需給タイト感からリースレートが急伸している。「World Platinum Investment Council(WPIC)」によると、中国のプラチナ輸入は需要背景が明確な量を大きく超えて増え続け(実需以上の輸入量)、2021年には「超過分と実需不明分」合わせて43.5トンとなり、世界のプラチナ余剰を遥かに超えていた。

 NYMEXの白金在庫流出は、今年に入っても続いており、現物市場の品不足を反映している。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券主席アナリスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。
http://market-samurai.livedoor.biz/